カンポットペッパー農園記事(その10)

胡椒農園の収穫とその後

 弊社のKep州の胡椒農園では、5月末に一旦すべての収穫を終えました。この時には、熟した実だけではなく、熟していない実や花芽も全て取り除いてしまいます。

 栄養分が実に行かず、全て枝葉の成長に使われるようにして、木全体を大きくするためです。

 下は、その時の収穫風景です。梯子をかけて木の上の部分の実も収穫します。

 上の写真の手前の籠に収穫した胡椒の実の房を入れています。

 5月末に収穫を終えた後、雨季が本格化する前に、土入れを行います。これは畝の土が雨で流れだして少なくなったのを補う作業です。雨季が本格化すると作業がしにくくなります。

 何しろ、添え木7500本分の土入れなので、膨大な量の土が必要です。今年は下の写真のように農園内の土を掘って使用しました。

 土入れの後は、肥料を与えます。雨季が本格化して木が十分な水が得られるタイミングで、同時に栄養も与えて一気に木の生長を加速させる目的です。

 肥料は牛糞堆肥がメインになります。理由は伝統的にカンボジアの農村では、至る所で牛の放牧を行っており、比較的簡単に大量の糞が集められるためです。

 その他ミネラルの補給に牛骨粉も与えます。それから、何故かはわかりませんが、伝統的にコウモリの糞も一緒に与えます。これがカンポットペッパーに独特の風味を与える隠し味などと言われてはいますが。

 このKep州や隣のKampot州には、平坦なカンボジアには珍しく多くの山があります。この山は石灰岩でできているので、雨で溶けて多くの洞窟があり、その洞窟にコウモリが大集団で生息しています。

 そこで、山の近くの村では洞窟に入ってコウモリの糞を取って生活している集落が多くあります。
 我々もその様な家に直接コウモリ糞を買いに行くわけです。

 先日、コウモリの糞を買出しに、ある村に行って聞いた話ですが、Kampot州にあるKセメント(Kampot セメント)という会社が石灰岩の山を買い取って原料に使い、そのためにコウモリ糞取りの人々が山から追い出されているそうです。

 Kセメントは次々に山を買ってしまうので、このままではコウモリ糞が手に入らなくなり、将来カンポットペッパーの独特の風味に危機が訪れるかもしれません。

 さて、肥料を与えて雨季が本格化すると、木が成長して多くの新しい枝葉を茂らせてきます。
そして、5月末の収穫から2か月たった8月からは、木に多くの花芽が出てきました。一旦体全体の成長に栄養が使われて、一段落すると今度は花芽や実の生殖成長の順番になる訳です。

 下は、最近の胡椒の木、一杯の花芽を付けています。

 葉の付け根付近から小さな軸状のものが多数垂れてきているのが花芽です。この花芽の一部にはすでに小さな実が生ってきているものもあります。

 来月下旬には多くの青い実が出来てきます。これは青胡椒と言って、カンボジアでは生のまま野菜のようにして食べます。(下の写真は、カンボジア名物 「イカの青胡椒炒め」)

 来年の3月になると熟した実を収穫して、乾燥胡椒を作ります。木に一杯の花芽を見ながら、青胡椒や乾燥胡椒の収穫に思いをはせます。