■カンボジアの胡椒(カンポット・ペッパー)の赤、白、黒胡椒
前回までカンボジア内戦前の1960年代までは、世界的ブランドであったカンボジアの胡椒が内戦終了後21世紀になって復活してきた歴史や、特徴についてお話しました。
今回は、赤、白、黒胡椒の違いに焦点を当ててお話しします。
実は、赤、白、黒の3種類の乾燥胡椒は、全て同じ木の同じ房から取れます。同じ房で赤い実は赤胡椒になり、黄色や橙色の実は皮を剥いて白胡椒に、緑色の実は黒胡椒になります。右下の収穫後の多くの房の写真に、赤、黄、橙、緑の実が見えます。
赤、白、黒になる実が混在した房から、1粒ずつ手作業で実をより分けます。
1.カンボジアにしかない赤胡椒
フランス人が植民地であったカンボジアの胡椒で、赤い実が独特の「旨味」を持つことを発見し、黒胡椒から赤い実だけを集めて珍重しました。
全体の10%程度しかできないので、現在もパリでも最高値で売られています。
通常日本で「赤胡椒」や「ピンクペッパー」と言われているものは、西洋ナナカマドの仲間で、胡椒とは味と香りが異なります。
2.白胡椒
黄色、橙色の実は、暫く水に浸けて皮をふやかしてから手作業で皮を剥き、白い種だけにしたもので、種の純粋な辛味が特徴です。他の色の実は皮を無理に剥いても皮が一部種にくっ付いてしまい、きれいな白色になりません。
3.黒胡椒
定番ですが、種と皮の両方の味と香りが絡まって、複雑な味わいを楽しめます。
収穫・乾燥後に手作業で1粒1粒、1級から3級に選別します。カンポット・ペッパー協会(現地農協にあたる)で決められた、大きさ、色、形でないと1級品にならず、カンポット・ペッパーのブランドでは出荷できません。
他の黒胡椒と比べて頂くと、味・香りだけでなく外見にも違いが出てきます。