Cedar Farmの今シーズンの黒生姜(ブラックジンジャー)の植付が何とか終わりました。
2016年に原産地と気候・土壌が酷似した、カンボジアのポーサット州でテスト栽培を始めて以来、5シーズン目の植付です。(写真は、‘種イモ’と植付作業風景)
黒生姜(ブラックジンジャー)は生姜やウコンの仲間ですが、生姜やウコンと比べて非常に病気に弱く、すぐに死んでしまいます。
通常は、人や動物が病原菌を運んで来ない山奥の人里離れた場所で栽培されます。
代々黒生姜を栽培してきた村でさえ、年によってはかなりの病気が発生します。
近年需要の高まりに応じて、原産地近くでもいくつかの事業者が栽培にチャレンジしてきましたが、何年も全滅を繰り返したりして、中々うまく行きませんでした。
私が2016年にポーサット州でテスト栽培した時も、半分は病気が出ました。
その後色々工夫して、ポーサット州でうまく行くようになった後は、胡椒農園近くのカンポット州でも大規模栽培に挑戦しました。
山奥のポーサット州には行くだけで片道2日かかってしまいます。実際2016年9月20日にTV放映された「こんなところに日本人」でこのテスト栽培中の様子が紹介されましたが、見て頂くと「辿り着くだけでもやっとだ」と実感できます。
そこで、私がほぼ毎日現地に入れる胡椒農園近くでも栽培を開始したわけです。
そうは言ってもカンポット州での栽培の困難は、山奥とは比較になりません。
原産地の農民からは「絶対に無理だからやめろ」と言われました。海岸近くのカンポット州では山奥とは気候・土壌その他の条件がまるで違うためです。
また、本家の原産地では、化成肥料や農薬も使用していますが、私は完全有機栽培にこだわっているので、本家よりも難しいかもしれません。
ノウハウの一端をお話ししますと、一番の問題は雨期に根腐れ病が出るので、それをいかにして防ぐかです。
根腐れ病の原因は、病原カビ類が根を溶かして穴を開け、その穴からカビや細菌が侵入して病気になってしまいます。
黒生姜は根の皮が薄くて弱いためか、根の防御機能が弱いためか、ウコンや生姜に問題がでない土でも簡単に根腐れしてしまうのです。
病原のカビ類の増殖を防ぐ方法の1つは、土壌にカビ類の天敵を増やすことですが、うちでは天敵の放線菌類を増やすカニ殻を大量に使っています。
何とか病原カビ類の天敵を増やす手はないかと、調べていた時にカニ殻、エビ殻を与えると(他の条件も揃うと)放線菌類が増えて病原も減るということがわかりましたが、肥料として買うと非常に高くてペイしません。
ある晩、ふと、「そういえば、農園近くのケップ海岸のカニ市場のレストランで大量にカニを食べているなあ。食べたあとに殻をもらえないかな?」と思いつきました。
結局、このカニ市場のカニ殻を大量に入手できることになり、自作の機械で粉にひいて使っています。まさに「灯台下暗し」ですね。(写真はカニ殻粉砕機)