カンポットペッパー農園の収穫後の仕事

 カンボジア南西部カンポット州・ケップ州に在る、うちのカンポットペッパー農園では、5月下旬に収穫作業が終わりました。

 胡椒の木は実を力一杯産んだので、産後に消耗して栄養が必要な状態になっています。そこで、収穫直後から肥料を与えて体力を回復させます。

 肥料を与えるためには、まず除草です。除草しないと肥料をやっても雑草の餌になってしまいます。

 熱帯のカンボジアは日光が豊富で、雨期には水に不自由しない為、雑草の茂る速度が速く、量も日本の比較にならないほど多いです。

 そこで除草が一仕事なわけですが、カンポットペッパーは完全有機栽培の為、農薬などの除草剤が使えません。

 その為、畝の周りで刈払機は使えますが、畝の木の近くは全て人手で「チョッカ」と呼ばれる鍬を主に使って草取りをします。

(刈払機による除草の様子) (チョッカ(鍬)による除草)

 草取りが終わると、やっと施肥が可能になります。

 肥料は、牛糞堆肥、こうもり糞、牛骨粉がメインになりますが、その他は各農園が独自の有機肥料をアレンジします。

 牛糞堆肥は土質の改良、こうもり糞は窒素分の栄養補給、牛骨粉はリン酸分の補給になります。

 肥料と共に新しい土も大量に入れて、微量元素などを補給するのも伝統的なやり方です。但し、うちではここ数年大量の土だけを入れることはやっていません。

 一定量の新しい土を牛糞堆肥に混ぜて寝かせたものを施す事で十分と判断しています。

 実は微量元素は牛糞堆肥などの肥料に十分に含まれています。

(牛糞堆肥と土を混ぜる様子) (牛糞堆肥の施肥の様子)

 カンボジアでは牛を放し飼いにしている農家が多く、牛糞を溜めて堆肥にしているところも多いので、非常に安い牛糞堆肥に不自由しないわけです。

 また、うちの肥料の特徴の1つは、カニ殻を使っていることです。

 カニ殻は窒素、リン酸を豊富に含む優れた肥料ですが、キチン質を含むために土中の放線菌類を増やす働きがあります。

 放線菌は、胡椒の大敵カビ類や線虫の外側のキチン質を溶かす酵素を出すので、放線菌が増えると病害虫を抑制することができます。

 但しカニ殻は高いので、「欲しいけど、どうしようか?」と考えていた時に、「そういえば近くの海岸のカニ市場のレストランで大量のカニが食べられているなあ。その殻を集められないかな?」と思い至って、カニ殻を安く入手できるようになりました。

 カニ殻を海岸で大量に入手してきて、自前の粉砕機で粉にして使っています。

(カニ殻集めの様子) (カニ殻の粉砕の様子)

 施肥と共に重要なのが、設備のメンテナンスです。

 収穫期の2、3か月間は他の作業があまりできないので、胡椒の添え木が折れたり、屋根のネットが外れたりしているところも出てきますので、これらのメンテナンスも行います。

(添え木の交換の様子) (胡椒の新しい添え木)

 

カンポットペッパーがますます身近に! カンポットペッパー完熟赤胡椒がマコーミック・ブランドで発売!

 ユウキ食品(株)様から、うちの農園の完熟赤胡椒が、「マコーミック」ブランドで今年の春に発売になりました。

「マコーミック」はアメリカ生まれの有名ブランドで、私が子供のころには日本でも胡椒の代名詞のようでしたので、大変光栄な限りです。

 白・黒・ピンクペッパーではなく、これまで日本にないカンポットペッパー特有の完熟赤胡椒に焦点を当てての発売です。

 

<マコーミック・ブランド カンポットペッパー発売の経緯>

 思い起こせば2年前の夏、カンボジアの首都プノンペンでの出来事です。

 普段住んでいるカンポット州から、用事で首都プノンペンに運転して、丁度到着したタイミングで携帯が鳴りました。

 知らない日本人の方からですが、偶然すぐ近くにおられるとのことで、お会いすることになり、お昼ご飯をご一緒しました。

 旅行でカンポットの胡椒農園を探しておられたとのことで、その時に持っていた赤胡椒のサンプルをお渡しすると、それをユウキ食品様の役員さんに渡してくれました。

 その時から、一時帰国のタイミングでその役員さんにお会いして、カンポットペッパーのお話をさせて頂くようになり、昨年うちの農園から赤胡椒を出荷しました。

 その後、昨年11月の新宿の展示会出展にお越しいただいてお話しさせていただくなどして、今年のマコーミック・ブランドでの発売となりました。

 私は普段首都プノンペンから車で3-4時間かかる、農園のあるカンポット州に居ますので、プノンペンに来ることは珍しいのです。珍しくプノンペンに来たタイミングに、しかもすぐ近くから電話を頂かなければ、今回の発売も無かったことになったはずですので、不思議な偶然があるものですね。

 こんな偶然から始まった「マコーミック」ブランドの完熟赤胡椒ですが、多くの人に味わって頂きカンポットペッパーが更に身近なものになるきっかけになれば、と願っています。

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その4

<免疫力アップと血流改善とカンポットペッパーの塩漬け生胡椒>

 これまで3回にわたり、

アフターコロナ時代には、免疫を高めて予防が大切だが、胡椒・生姜には免疫アップに不可欠の血流改善に効果があり、胡椒では主成分ピぺリンに血流アップ効果がある。
カンポットペッパーは、有効成分ピぺリンを他の20%以上多く含む。
特にグリーンペッパー(生の胡椒の実)の塩漬け生胡椒で、ピぺリンが美味しく摂れる。

というお話をさせて頂きました。

<カンポットペッパーの塩漬け生胡椒とは>

 カンポットペッパーの塩漬け生胡椒は、グリーンペッパー(生の胡椒の実)をカンポット州の海塩に漬け込んだもので、常温で1年以上長持ちするので、手軽に安心して日本に持ってくることができます。

 塩漬けにすることで、胡椒の内部にあったこれまでにない旨味が表面に出てきます。

(下の写真は塩漬け生胡椒)

 弊社は毎年11月初旬に、新宿駅西口広場イベントコーナーで開催される、「Tokyo 三ツ星バザール」という展示即売会に出展しています。

 この展示即売会では、毎年、試食していただいたお客様の70%―80%にお買い上げ頂いています。(写真は展示会の様子)

 「確かに塩漬けの胡椒だけど、普通じゃない味だね!」、「これまでない味だけど美味しい」などというご評価を頂いてきました。

 また、インバウンドの中国人、欧米人のお客様にもよく売れます。「美味しいものは世界共通」といった感じです。

 展示会では「どうやって食べるの?」というご質問をよく頂きますが、下の写真のように、肉料理、魚料理、パスタ、サラダ、スープなどにそのまま粒ごとか、刻んで入れて頂くと料理が変わってきます。卵かけご飯、納豆、バニラアイスにも実は良く合います。

 

<塩漬け生胡椒を作る様子>

 上の写真のように、胡椒の房から一粒一粒実を分けて塩漬けにするので、非常に手間暇がかかります。人件費の安いカンボジアでないと難しいかもしれません。

 下は、使用するカンポット・ソールト(カンポット州の天然海塩)作成の様子です。

「香りのレッドカンポットペッパー」の魚肉ソーセージがコンビニで発売!

 赤胡椒は、カンボジアの南西部カンポット州・ケップ州特産のカンポットペッパー特有の胡椒ですが、他の胡椒にない旨味とマイルドな香りに特長があります。

<カンポットペッパーの赤胡椒のソーセージが新発売>

 この特長を生かした、赤胡椒パウダー入りソーセージが、コンビニで発売されました。

((株)丸善様が製造・販売)

 パッケージに「香りのレッドカンポット」と入れて頂きました。「カンポットペッパーもだいぶ身近になったなあ」、というのが率直な感想です。

 昨年からお客様が複数回の試作と評価を繰り返して、発売にこぎつけました。最初は、粗挽きの方が香りが一層生かせるので、粗挽きで試作しましたが、細挽きの方が味・香りが均等になる、とのことで細挽きに落ち着きました。

 もし、コンビニで発見したら、是非お試しを!

 さて、カンポットペッパーの赤胡椒は、日本でおなじみのピンクペッパーとは違い、本当の胡椒の実で、黒胡椒、白胡椒と同じ房にできます。因みにピンクペッパーは、胡椒ではなく「西洋ナナカマド」の実です。

 左上の写真は、胡椒の房を収穫した写真で、同じ房に緑、赤、橙、黄色の実が混じっていますが、房から赤い実だけを手作業で1粒ずつ外して集め(右上写真)、煮沸し天日乾燥します。下の写真は完成した赤胡椒です。

一粒、一粒に相当の人手がかかっていますね。

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その3

<免疫力アップと血流改善とカンポットペッパー>

 前々回の記事で、

アフターコロナ時代には、免疫を高めて予防が大切。免疫を高める食材として、胡椒や生姜が改めて注目されてきた。
胡椒・生姜には免疫アップに不可欠の血流改善に効果があり、胡椒では辛味成分ピぺリンに血流アップ効果がある。
カンポットペッパーは、辛味成分ピぺリンを他の20%以上多く含む。

というお話をさせて頂きました。

<胡椒のピぺリンを美味しく自然に摂る方法>

 このように健康効果の高いピぺリンなので、大手製薬会社も胡椒やヒハツなどから抽出したものをサプリとして販売しています。

 ただ、自然な形でピぺリンを摂りたいという方も大勢いらっしゃると思います。

 胡椒は調味料として少量しか使わないので、普通に乾燥の黒胡椒や白胡椒を使っても、それほどの量のピぺリンは摂取できません。

 その場合、胡椒の粒を丸ごと食べられるグリーンペッパー(胡椒の生の実)を食べるという方法もあります。

 実際、私の住んでいるカンボジアのカンポット州では、現地のカンポットペッパーのグリーンペッパーを野菜のように使って、海鮮との炒め物などがよく食べられています。(下の写真)

 しかし、現実的には、日本でグリーンペッパーを食べるのは非常に難しいですね。

 カンボジアでは、グリーンペッパーを野菜として使う他に、酢漬けや塩漬けにして長持ちさせて使います。

 西洋人には、酢漬け(ワインビネガー漬け)が、一部評判が良いのですが、私は日本人にはやはり塩漬けが合う、と思います。

 そこで、(グリーンペッパーは売るほどできるので)塩漬けを試作してみましたが、生の胡椒の実にはない、独特の旨味と良い香りが出てきます。

 材料は、本当に生の胡椒の実とカンポットの海塩のみですが、塩漬けにすることで胡椒が本来持っていた複雑な旨味が表面に出てくる感じがします。(下は塩漬け生胡椒の写真)

 塩漬け生胡椒を商品化してみると、日本人はもちろん西洋人や中国人にもかなり好評で、 乾燥胡椒は、ミルで挽いてほんの少しずつしか食べませんが、塩漬けにすると胡椒の粒を丸ごとでも、全然抵抗なく美味しく食べることができます。

 アメリカや香港からも多く引き合いがあります。

 また、某オランダ人経営の胡椒メーカーはうちの詳細レシピを不当にコピーしてプノンペン空港のお土産コーナーで大量に売っています。(泣き)

 以下の写真は、塩漬け生胡椒を使った料理の例です。

(次回は、塩漬け生胡椒について詳細をお話しします)