2015年7月31日
弊社のKampot州の農園では、天然ゴム、キャッサバ、胡椒に次ぐ第4の柱として、生姜の栽培を今年から開始しました。
実は、生姜の原産地はインドからマレーシアにかけての南アジアと考えられ、25℃-28℃が最も生育に良いと言われていますので、カンボジアの気候にピッタリです。
また、カンボジア国内でも料理に不可欠の食材として大量の需要がありますし、加工すれば日本でも高く売れます。
ところが、カンボジアでは生姜栽培は盛んではありません。理由は、主に作り方が難しく、特有のノウハウが必要なことです。過去にも多くの人が生姜栽培に挑みましたが、失敗に終わったケースが多いそうです。
弊社でも、利益率が高いので何とか生姜栽培ができないのかと模索していましたが、スリランカ、カンボジアで生姜栽培を20年行ってきたエキスパートの技術指導を受けられることになったので、今年から栽培に踏み切ることにしました。
生姜栽培で特に重要なのは植付方法です。多くの人たちがこの方法を間違えて失敗したそうです。
植付時には、燻炭が必要です。燻炭は稲のもみ殻を蒸し焼きにしたもので、土壌のペーハーを整えたり、有用なバクテリアの住処を提供したりする役割を果たします。
上の写真は燻炭作りの様子で、煙突を中心にモミ殻を山盛りにして蒸し焼きにします。写真の上部はできた燻炭で、このように黒くなったところで水をかけて燃焼を止めます。止めないと灰になるまで焼けてしまいます。
畝を作り、タイから輸入した種生姜を切り分けて燻炭、肥料とともに畝の中に植え付けます。(下は種生姜)
下の写真は植付が完了したところです。
畝に稲わらを敷き詰めて土壌の水分を保つようにします。
3月後半から植付を始めました。元来生姜は中々発芽しなくて、通常は発芽まで3週間から1か月かかるとのことです。ところが、弊社の場合1か月掛かっても中々発芽せず、焦りが募りました。
掘って中を見てみると、意外なことが分かりました。下の2枚は掘った種生姜の上の部分と下(裏側)の部分です。
一目瞭然、1枚目の種生姜の上の半分は乾いていて土が付いていませんが、2枚目の裏側の半分は湿り気があり土がついています。
つまり、水を与えても土壌の保水力が低く、自分の重さで土に密着している裏半分以外では水分が種生姜にくっつかない訳です。 その結果、水不足になって芽がでないのです。
一般に、植物の芽や根が出るためには、温度と水分が十分である必要があり、まだ根が出ていないために肥料や土壌の栄養分は無関係です。
この場合、温度は十分なので、水分の不足のために発芽が遅れていると推定できます。
やはり、保水力が不十分な土壌では水を溢れるほど与えて、種生姜の上の部分も含めて全体が水分に包まれる必要があるようです。
元々、カンポット州は他に比べて雨が少なく、今年はエルニーニョ現象で更に少なくなっています。
そこで、井戸を追加で掘って水を確保し、毎日朝から夕方まで生姜畑に水を撒くようにしました。
下は、生姜畑用の井戸と貯水タンクです。
何しろ、雨季に入ってもほとんど雨が降らないので、来る日も来る日も、臨時ワーカーも雇って大勢で水を撒き続けました。
長くなりましたので結果は、次回に書きます。