JETRO共催オンラインBtoB展示会「Saladplate」に出展しました。11/2-15のJapan Festivalにカンポットペッパーが登場します!

 コロナ禍でお客様を訪問する営業活動ができにくい中、「オンラインで何かできないものか?」 と考えていたところ、JETRO(日本貿易振興機構)が海外バイヤーとビジネスをするためのオンライン展示会出展社を募集していたので、早速応募しました。

<Saladplateとは>

 世界最大のイベント主催企業Informa Marketsが主催している、「Saladplate」というオンラインBtoB展示会があります。

 アジア最大級の食品&ホスピタリティ業界のオンラインBtoB展示です。

 このオンライン展示会の中に、JETROがJAPANパビリオンを出すことになり、そこに出展する100社の中小企業、大企業を募集したわけです。

 海外企業とのビジネス取引経験を重視されたのか、何とか補助金付きで採用されて10月下旬から出展しています。

(SaladplateのHP:https://www.saladplate.com/)

(Saladplate内弊社サイト)

<1st JAPAN FESTIVAL “Hot Plate Edition”>

 このSaladplateの中で、日本祭、Japan Festivalとして、11/2-11/15に鍋具材、魚介類、調味料に焦点を当てた、「Hot Plate Edition(鍋料理編)」が開かれます。

 鍋料理編ですから、実際に参加企業の具材・調味料を使って寄せ鍋を作って、ビデオプロモーションをします。

 うちのカンポットペッパーも調味料に属するので、プロモーション用寄せ鍋のつけ汁に生胡椒の塩漬けに使うことを提案しました。

 お料理の専門家の先生がうちから送ったサンプルを評価して、「うまい!」とのお墨付きを頂き、寄せ鍋に採用していただきました。

 私も15秒ほどZoom経由で生胡椒の塩漬けの紹介に参加しています。

 寄せ鍋プロモーションビデオはまだ編集中とのことですが、来週からのJapan Festivalが楽しみです。

カンボジアは今大洪水

 世界的な高級胡椒カンポットペッパーの産地、カンボジアが大洪水に見舞われています。

 カンボジアでは、10月後半から11月の雨季の最後に大雨が続く年があるのですが、今年は10月に入ってから、日本でいう集中豪雨が連日のように続いています。

 昨年は、反対に珍しく9月末から翌年3月までさっぱり雨が降らず、干ばつ状態になりました。

 そのため、特に黒生姜の成長がストップしてしまう事態になり大きな被害を受けました。

 黒生姜は11月の最後の1か月に急に塊根が大きくなり、内部の有効成分が増すので、昨年は成長ストップの為に収穫量、品質ともに大打撃でした。

 今年は、10月に入っても雨が続いていたので、昨年のような被害は出ないだろうと安心していましたが、逆に雨量が多すぎて被害がでそうです。

 カンポットペッパーは、味と香りは良いのですが、病気に非常に弱く、2-3日根が水に浸かると根腐れ病が出てきます。

 そこで、先日のブログにも書きましたが畝と畝の間を深く掘り、畝を高くして降った雨水がすぐに排水されてしまうように、雨季のピーク前に準備します。

 9月まではそのように準備した排水路だけでうまくいっていたのですが、最近は雨量が多すぎて排水が追いつきません。

 そこで、雨が上がった直後にワーカー総出で、水が溜まっている場所に排水路を追加したりして排水作業に努めます。

 全て人手でチョッカと呼ばれる鍬を振るう作業なので、かなりの人手がかかりますが、放って置くわけにはいきません。

 放って置くと、病気が出て来月からの塩漬け用の生の実の収穫量や、来年3月からの乾燥胡椒用の収穫量が激減してしまいます。

 下の写真の排水路に水が溢れそうになっていますね。

 さて、今は農園以外の場所もこの大雨の被害を受けています。

 トンレサップ川が氾濫して、道路が川になったり、家中に水が溢れたりしています。

 また、幹線道路が寸断されて、隣の州に移動できず孤立する地方が出てきたりしています。

 下の写真は寸断された道路です。道路の片側から水が溢れてもう片側に流れ込みます。道路の下の地盤もコンクリ―ト等で固められていないので、流れ込む水で道路の下が抉られ、道路の一部も流されてしまいます。

 カンボジアは今、至る所水だらけです。

 乾季には数か月間一滴も雨が降らず、道路も土埃が舞って見通しが悪くなるほどですが、雨季のピークには、長い時は1-2か月もこのような状態が続きます。

 カンポットペッパーはこのような苛烈な自然環境の場所で栽培されているのです。

カンポットペッパー農園は、連日集中豪雨です。

 カンポットペッパーは、カンボジア南西部カンポット州・ケップ州で栽培される、世界的なブランドの有機胡椒です。

 カンポット州・ケップ州にある弊社のカンポットペッパー農園は今、雨季のピークを迎え、過酷な自然と闘いながら胡椒の木を守り育てています。

<カンボジアの雨季のピーク>

 カンボジアは、北緯約14度の熱帯にあり、年間雨季と乾季の2シーズンがあります。

 大体毎年5月~10月の半年が雨期、11月~4月の半年が乾季です。

 この雨季の中でも、毎日雨が降っているわけではなく、年ごとにかなり異なりますが、何週間か雨が集中したかと思うと、その後2週間くらい全く降らない時期もあります。

 ところが不思議なことに、毎年9月中旬のプチュンバン連休(カンボジアお盆)時期には必ずといっていいほど大雨が集中します。

 果たして、今年も毎日のように豪雨です。

 この豪雨は、「スコール」と呼ばれ、直前までよく晴れていても、急に冷たい風が吹いてきて空が暗くなり、にわかに大粒の雨が叩きつけてきます。

 特徴は、日本の集中豪雨のような大雨だけでなく、台風のような強風も吹き荒れることです。

 スコールは、1、2時間ほどで上がりすぐ晴天になる日もありますが、1日中降り続く日もあります。

<スコールのカンポットペッパー農園への影響>

 9月中旬のピークには、この1日中降り続く日が1週間から3週間くらいも連続することがあり、日本の集中豪雨の比でない水量で、カンポットペッパー農園も溢れ返ることになります。

 しかし、胡椒の木は2,3日間根が水に浸かると根腐れなどの病気が出てしまいます。

 特にカンポットペッパーは、クメール種という味と香りは良いが病気にすこぶる弱い品種を栽培していますので、冠水しないように一刻も早く排水することが大切です。

 その為に、毎年雨季ピーク前には、左下の写真のように畝ごとに排水路を掘り、胡椒の根の上に土を盛って小山のようにして、雨が降るそばから流してしまうようにします。

 また、スコール直後には農園全体を見回って、水溜まりができていないかを確認し、万一できていればすぐに排水路を掘って排水します。

 右下の写真は、スコール直後に大量の水が排水されてしまった様子です。

 このように排水路を掘ると、雨水をすぐ排水するだけでなく、スコールで畝に浸み込んで胡椒の根の近くの地中に溜まった水も、大雨が上がった後にすぐに排水路まで押し出されてきます。

 このため、根が長期間水に浸かった状態を避けることができます。

 スコールのもう1つの脅威、強風も農園を破壊します。

 左下の写真は、スコール後に強風で胡椒の添え木がくの字に折れてしまった状態、右下は農園ハウスの屋根が壊れた様子です。

 左上のように、胡椒の添え木が折れてしまうと、胡椒が引っ張られてストレスを受けたり、最悪は胡椒も折れてしまうこともあります。

 今日の午前中は晴れたので、昨日・一昨日のスコールで折れた添え木の取り換え作業を行いました。下の写真は交換用の新しい添え木を運んでいる様子です。

 一滴の雨も降らない炎天が数か月間続く乾季だけでなく、このように雨季も熱帯の自然は大変過酷です。

 私たちは、過酷な自然と闘いながら、病気に弱くとも味と香りが最高級のカンポットペッパーを作り続けています。

カンポットペッパーは今収穫の最盛期です。

 カンポットペッパーは、例年3月から5月の乾季の真最中が収穫時期です。

 前年の天候によって胡椒の実が熟す時期が数か月ずれる年もありますが、今年は3月中旬から十分に熟して例年通りに収穫が始まりました。

 3月には地元のカンポット州、ケップ州でも新型コロナの感染者が出始めたため、日雇いワーカーも大量に雇って特に収穫作業を急ぎました。病気が蔓延して作業が止まると、熟した胡椒の実が木から落ちて無駄になってしまうので、熟した実をタイムリーに摘んでしまう必要があるからです。

 収穫の手順は以下のとおりです。

  • 手で熟した房を摘み取る。熟した房のみを摘み取り、未熟なものは熟すまで待ち、2巡目の収穫作業で摘み取ります。

  • 同じ房に赤、黄色・橙色、緑の実が付いているので、赤と黄色・橙色の実を1粒ずつ手作業で取り外して分ける。赤の実はカンポットペッパー特有の赤胡椒に、黄色・橙色の実は皮を剥いて白胡椒にそれぞれします。
  • 房に残った緑の実を足で踏んだり、分離機を使ったりして房から外す。これは黒胡椒になります。(下は分離機の様子)
  • 赤、緑の実は一旦煮て天日乾燥させます。黄色・橙色の実は煮た後皮を剥いてやはり天日乾燥させます。雨が降って十分乾燥できない場合は、乾燥機で乾燥させます。
  • 十分乾燥した実は、更に1粒ずつ手作業で1級から3級に選別します。十分な大きさ、色、形、香りをもつものだけを1級品として、「カンポットペッパー」のブランドで出荷します。選別中には、時々農協にあたるカンポットペッパー協会の会長も、自らうちの農園に顔を出して正しく選別が行われているかチェックします。

 幸いなことに、新型コロナで中断も無く一巡目の収穫が4月一杯で終わりました。今後2巡目の収穫作業に入っていきます。

カンボジア農産品のウンチク(その2)

カンボジアの胡椒(カンポット・ペッパー)の特徴

 前回は、カンボジア内戦前の1960年代までは、世界的ブランドであったカンボジアの胡椒が内戦終了後21世紀になって復活してきた歴史についてお話ししました。 現在もパリの一流レストランやスパイス専門店で高級品として扱われていますが、他にない特徴がいくつかあります。

1.カンボジアにしかない赤胡椒

 フランス人が植民地であったカンボジアの胡椒で、赤い実が独特の「旨味」を持つことを発見し、黒胡椒から赤い実だけを集めて珍重しました。 通常日本で「赤胡椒」や「ピンクペッパー」と言われているものは、西洋ナナカマドの仲間で、胡椒とは味と香りが異なります。

 因みに、乾燥胡椒は赤、白、黒の3種類ありますが、全て同じ木の同じ房になります。同じ房からこれら3種類を1粒1粒手作業でより分けて作ります。

2.クメール種

 カンボジアのカンポット州で栽培される胡椒は、「クメール種」という種類で、日本で通常使われるインド、スリランカ産の「インド種」、マレーシア、ベトナムの「マレー種」に比べて、病気に弱く、育ちが遅く、収量も少ないという特徴があります。

 悪いことだらけですが、唯一味と香りに優れている、という良さを持っています。辛味成分は他より平均20%多いといわれています。

3.100年前からの栽培方法を守る完全有機栽培

 現地の農協にあたる「カンポット・ペッパー協会」は100年前からの栽培法を厳格に踏襲するガイドラインを決め、それに従う農園だけに「カンポット・ペッパー」ブランドを許しています。 「カンポット・ペッパー」はWTOのGI(地域特産品)ブランドで、フランスのボルドー地方の特産品「ボルドーワイン」と同様、この地域限定ブランドです。

 100年前には化学肥料もなかったので、完全有機栽培であり、肥料は牛糞、こうもり糞、牛骨粉、カニ殻などです。除草剤も使えないので、全て人手の作業です。カンボジア胡椒が味と香りにこだわり、困難な完全有機栽培にこだわっていることが見て取れます。

※20193月 シーダーアグリビジネスは、カンボジアでは初めて日本の有機JAS認証を取得しました。