黒生姜(ブラックジンジャー)の成分特許の内容

<黒生姜(ブラックジンジャー)の由来>

 タイでは、黒生姜は「クラチャイダム」と呼ばれ、古来よりメンズ・サプリや女性の美容サプリとして珍重されてきました。

 タイ・ラオス国境の険しい山奥の少数民族の間で、古くから「1日中山を歩き回っても、このクラチャイダムを飲めば、すぐに足の疲れが回復して次の日も問題無く山歩きできる」と言い伝えられていました。

 これを伝え聞いた一般のタイ人の間にも広く使われるようになったとのことです。
 近年、タイの大学が、黒生姜の効果を科学的に検証するためのデータを集め、そこに日本企業が協力して、日本での特許となりました。

 日本の大手サプリ原料メーカーが取得した、中高年の歩行についての黒生姜の効果を記述した、特許文書を抜粋して要約してみます。

(特殊な専門用語ばかりなので、太字以外は気にせず読み飛ばしてください。)

<特許第5931309号、特許第5903191号の抜粋要約-黒生姜の効果>

一般的に65〜70才の人口のうち、約24%は老化による筋委縮を経験しており、20%程度が筋機能が喪失されていることで知られている。身体が老化に伴い、

 ① 各種ホルモン分泌が低下することで、タンパク質を合成する「同化作用」が低下
「タンパク質を合成する作用である同化作用(anabolism)に関与する成長ホルモン、性ホルモン、インスリン様成長因子等のホルモン分泌が減少して、筋肉のタンパク質合成が低下」

 ② 筋肉内のタンパク質を分解する「異化作用」を促進して筋力が低下
「循環炎症性サイトカイン(cytokine)、特に、腫瘍壊死因子−α(tumor necrosis factor-;TNF-)の数値が増加することになる。筋繊維の再生能力を低下させる要因として、炎症性サイトカインの一つであるTNF-αは破損した筋繊維と融合したり、分化を抑制したりして、筋肉内のタンパク質を分解する作用である異化作用(catabolism)を促進して、最終的に骨格筋組織の損失を生じさせることができる」

 ③ 筋肉細胞を増やす「分化」を促進することで、老化で損傷された筋肉細胞を再生可能
「筋肉細胞の分化は、myoD、myf5、myogenin、mrf4等の多様な筋肉調節因子(muscle regulatory factors;MRFs)によって調節される。MyoDは、筋肉の特異的遺伝子の発現を開始することにして、間葉幹細胞(mesenchymal stem cells)が筋肉細胞の系列に分化することを誘導する。Myogenin発現の誘導は、myoD活性によって調節される。損傷された筋肉細胞の再生は、老化または慢性炎症により発生した筋委縮症を予防または治療することができる」
 黒生姜(学名:ケンペリア・パルウィフローラ)により筋肉細胞を減らす「異化作用」を減らし、筋肉細胞を増やす「同化作用」と「分化」を活性化させることが判明した。

「天然物由来の筋機能の調節物質を探索した結果、ケンペリア・パルウィフローラ(Kaempferia parviflora Wall. ex Baker)抽出物及びこれに含まれたフラボン系化合物が筋肉内のタンパク質異化作用を減らし、筋肉細胞の分化及び同化作用を増加させる活性があることを見付けて本発明の完成に至った。」

<特許第5863721号の抜粋・要約-黒生姜の効果>

抗酸化剤、抗老化剤、抗炎症剤、育毛剤、抗肥満剤、及び美白剤について本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ブラックジンジャーの抽出物が、

(1)優れたスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)様作用、一重項酸素による膜脂質の過酸化抑制作用、過酸化水素消去作用、及びラジカル消去作用の少なくともいずれかを有し、抗酸化剤として有用であること、

(2)優れたマトリックスメタロプロテアーゼ−2(MMP−2)活性阻害作用、マトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)mRNA発現上昇抑制作用、及び表皮角化細胞増殖促進作用の少なくともいずれかを有し、抗老化剤として有用であること、

(3)優れたヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用、一酸化窒素(NO)産生抑制作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)活性阻害作用の少なくともいずれかを有し、抗炎症剤として有用であること、

(4)優れたアンドロゲンレセプター拮抗作用及び毛乳頭細胞増殖促進作用の少なくともいずれかを有し、育毛剤として有用であること、

(5)優れたサイクリックAMP−ホスホジエステラーゼ活性阻害作用及びラット副睾丸脂肪細胞を用いた脂肪分解促進作用の少なくともいずれかを有し、抗肥満剤として有用であること、

(6)優れたエンドセリン−1mRNA発現上昇抑制作用及びSCFmRNA発現上昇抑制作用の少なくともいずれかを有し、美白剤として有用であることを、それぞれ知見した。」

 科学的に検証され、特許にまとめられた黒生姜の効果は様々なものがありますね。黒生姜には、この様にいろいろと良い働きをする成分が数多く含まれています。

 <黒生姜の有効成分の効果的な摂取方法>

 さて、世の中に出ている黒生姜サプリには、以下の2種類があります。
 ① 黒生姜から幾つかの有効成分だけを抽出したもの
 ② 黒生姜全体をパウダーなどにして全て摂れるもの

 本当に黒生姜の効果を全て摂取するためには、黒生姜全体をパウダーなどとして摂ることが大切です。

 黒生姜パウダーはそれ自体苦いもので、この苦味に有効成分が入っています。
苦味を感じずに飲む方法としては、次のやり方があります。
 ① 熱湯に溶かして、砂糖、ハチミツ、パームシュガー等の甘味料を加える。
 ② 黒生姜パウダー1g、モリンガパウダー3gを1リットルの熱湯に溶かす。
モリンガの芳しい味と香りで大変飲みやすくなります。
 ③黒生姜パウダーを、バター紅茶、バター珈琲に加える。
脂肪分が苦味を抑えてくれます。

 また、サプリになっていない、黒生姜の塊根のドライチップもあります。
 ①これをお湯で煎じて飲む
 ②これをハチミツと一緒に焼酎(ホワイトリカー)に漬け込んで飲む
(黒生姜1kg、ハチミツ1kg、ホワイトリカー5kgで、1週間漬ける)
というのも黒生姜の発祥地タイで行われていて、有効です。

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その2

<免疫力アップと血流改善>

 前回の記事で、アフターコロナ時代には、免疫を高めて予防が大切。免疫を高める食材として、胡椒や生姜が改めて注目されてきた、というお話をさせて頂きました。

 コロナ対策の免疫を高めるために何が必要か?を知るために、日本の免疫学の第一人者と言われる、宮坂昌之阪大教授の「免疫力を強くする」(講談社ブルーバックス)という本を読みました。

 この本の第8章に「血液循環やリンパ循環を良くしてやれば、その分免疫力が高くなるのです」という記述があります。

 免疫細胞の通り道である血管やリンパ系の通りをよくすることが、免疫機能を働かせるために決定的に必要ということだそうです。

 この本の記述への私の独断と偏見の解釈ですが、平たく言うと、特定の病原体の抗原に反応して退治することができるリンパ球は、全体の10万分の1程度しかないなので、この数少ない割合のリンパ球を、体全体から血流を良くしてすごい速度でかき集めて病原体に充てることが、病原体に勝つ為に必要だということです。

<胡椒の有効成分ピぺリンの効果とカンポットペッパー>

 さて、古来より知られているように胡椒・生姜には全身の血流をよくする機能があります。

 生姜の効能については、日本でもある程度知られこれまで和食でも大いに活用されてきました。しかし、胡椒は調味料として単に味付けに用いられるだけで、健康効果を意識することもありませんので、ここで胡椒の健康効果をお話ししたいと思います。

 胡椒の辛味は、ピぺリンという辛味成分によりますが、ピぺリンは、ダイエットに効果があったり、血行をよくして冷えを解消したり、肌を健康に保ってくれたりするなどの健康効果があります。

ピぺリンの効果①:血行促進

 上記のように、血行促進が免疫力アップのために重要ですが、ピぺリンは体中の毛細血管を拡張して血行を促進し、冷えを防ぎます。

体が冷えることで風邪をひきやすくなることでもわかるように、やはり血流促進は免疫アップに大切ですね。

ピぺリンの効果②:食欲アップして栄養を十分摂取

 胡椒を使うと食事が進みますが、ピぺリンは食欲を増進します。

 どんなに良い食事であっても、それを十分に食べて消化しなければ健康にとって意味がありません。因みに、胡椒の臭い成分のリモネンにも食欲をそそる効果があります。

ピぺリンの効果③:抗菌、防腐、防虫効果

 元々、コロンブスなどの時代に西洋人が胡椒を求めてインドに向かったのは、肉の腐敗を防ぐために胡椒を使いたかったためです。

 現在は冷凍・冷蔵技術や防腐剤があって胡椒の重要性は下がりましたが、夏の食中毒を防ぐなどの為にも効果があります。

ピぺリンの効果④:ダイエット、アンチエイジングなど

 ピぺリンは、交感神経を刺激して、アドレナリンを分泌させ脂肪分解酵素を促進させるといわれています。

 また、ピぺリンには抗酸化作用もあるので、アンチエイジングに役立ちます。

 ところで、カンボジアのカンポット州で栽培される、カンポットペッパーはクメール種という品種で、他のインド種やマレー種よりもピぺリンを20%以上多く含むといわれています。

 カンポットペッパーにより、ピぺリンをより効果的に摂ることができます。

<カンポットペッパーの辛味>

 ギリシャの大手食品会社との商談で言われたのは、「カンポットペッパーの辛味は他の種類の胡椒の20%以上あるので、20%以上高くても買うよ」ということでした。

 また、カンボジアの首都プノンペンの日本人経営の有名ホテルでは、お土産コーナーに普通の胡椒とカンポットペッパーのサンプルが並べて置いてあり、すぐに比較できるようになっています。お客さんがカンポットペッパーの純粋な辛味と強い香りに驚いて買っていく、とのことで、在庫が少なくなると「カンポットペッパーを送れ、送れ」と

 催促が激しいですね。

 この様に、一口食べて頂くと、カンポットペッパーの違いがはっきり判ります。

(次回、胡椒の有効成分ピぺリンを美味しく、十分に摂る方法をお話しします。)