カンボジア土産のカンポットペッパーとコロナ禍の衝撃

 カンポットペッパーは、カンボジア南西部カンポット州、ケップ州のみで栽培される世界的ブランドのオーガニック胡椒です。

 うちの農園のカンポットペッパーは、日本や欧米に輸出するだけでなく、カンボジア国内でも売られています。

<プノンペン イオンモール1でのカンポットペッパー販売>

 その中でも、よく出ていたのはプノンペンにあるイオンモール1のAmazing Cambodiaという辣腕の日本人美人実業家が経営する、日本人旅行者がよく寄るお土産物屋さんです。

イオンモール1
(プノンペン)
Amazing Cambodia
手前の3籠一杯にうちのカンポットペッパー クメール黒の衝撃

 この経営者の方は、3、4年ほど前に商品の胡椒を探しておられ、うちの農園にも視察に来られました。特に塩漬け生胡椒を地元の籠に入れて売る企画がありましたが、この時は実現しませんでした。

 昨年夏頃、2日続けてカンポット市内で偶然ばったりお会いして、奇遇に驚きながら「また一緒に商品を考えましょう」などとお話ししていました。

 昨年秋にうちが塩漬け生胡椒を、新しいパッケージで発売したのを見て、そのパッケージの名前を気に入って頂き、Amazing Cambodiaさんで販売していただくことになりました。

 パッケージの名前は、「クメール 黒の衝撃」です。

 名前の「クメール」は地元語でカンボジアの意味ですが、塩漬け生胡椒が黒くて、食べると驚くような味なので「黒の衝撃」が合っているのではないか、とのことでした。

 昨年12月から店頭に並べられ、試食用の瓶も用意しました。

 年末にワクワクしながら、売上状況を店長さんに聞いてみると、「最初見ただけだと何かわからないが、試食してもらうとかなりの確率で売れる」とのこと。

 試食していただくとわかるのは、毎年11月に新宿西口で出展している展示即売会「三ツ星バザール」と同じですね。

<コロナ禍の衝撃>

 こうして、昨年12月から今年1月、2月と順調に売上が伸びて行ったのですが、3月に急ブレーキ。4月からは何と売上95%減となりました。

 ご案内のようにコロナ禍で、3月後半からカンボジアが「鎖国」状態になり、観光客が来なくなったことが原因です。

 カンボジアの観光客に対する実質鎖国状態は、まだ続いていますので、カンボジアのお土産物屋さんでの売上は、日本のインバウンド向けお土産屋さん同様厳しい状態が続いています。

 カンボジア国内でのコロナ感染者数はほぼゼロで、感染者の99%以上が海外から来た人が空港のPCR検査で引っ掛かるものばかりです。

 但し、日本のような保健所の機能もあまりないし、患者をきちんと隔離できるような病院も非常に少ないので、国内で感染が本格化すると止められなくなってしまうでしょう。

 その意味では、カンボジアが「コロナ鎖国」を続けて、外国からの感染者を防ごうとしているのは、致し方ないことだと言えます。

 そのため、世界的にコロナ禍が終息するまでは、観光客もカンボジアに入れないので、この状態が続いてしまいます。

 何とかこの難局を耐え抜いて、またお土産屋さんが復活できることを祈るばかりです。

カンポットペッパー 白胡椒の作り方

 カンボジアの南西部、カンポット州・ケップ州で栽培されている高級オーガニック胡椒、カンポットペッパーには、黒、白、赤の乾燥胡椒があります。

 これらは、全て同じ房からできますが、今回は白に焦点を当てたいと思います。

 熟して収穫された胡椒の房には、下の写真のように、赤、橙、黄色、緑の実がなっています。

 このうちの橙色と黄色の実が白胡椒になります。

 熟した胡椒の実は、純白の種を皮が包んでいますが、この皮を剥いて種の部分だけにしたものが白胡椒です。

 純白の種の部分だけの純粋な香りと強い辛味が特徴です。

 黒胡椒や赤胡椒は種の味と香りに加えて、皮の部分の味と香りが加わるために、一層複雑な味と香りになるわけです。

 さて、熟して種のある実であれば、原理的にはどれでも皮をきちんと剥けば、白胡椒になります。但し、橙色と黄色の実が一番おいしい白胡椒になります。

 なぜでしょうか? 橙色と黄色の実が最も完全に皮が剥けるからです。

 赤や緑の実の皮を剥こうとしても、皮のごく一部が種に付着して残ってしまい、純白にはなりません。見た目だけでなく、味と香りも皮の一部のものが混ざってしまうので、美味しい白胡椒にはならないわけです。

 面白いことに、逆に橙色と黄色の実の皮を剥かずに黒胡椒にしようとしても、形や色が悪くなり、一級品の黒胡椒にはなりません。

 胡椒の世界も、適材適所ということでしょうか。

 白胡椒用に皮を剥くためには、収穫後しばらく煮たものをたらいに入れて、手で圧迫して皮を剥きます。その後他と同様に天日で乾燥させます。(下の写真)

 完成した赤、白、黒の乾燥胡椒