カンポットペッパー農園記事(その1)

胡椒プランテーション Today

 今回は、胡椒プランテーションについてレポートします。

 弊社の胡椒プランテーションは、ケップ特別市(Kep Province)にあり敷地は13ヘクタールです。すぐ隣に日本人2名の合計14ヘクタールの胡椒農園があり、更に道を隔てて日本人の30ヘクタールの農地があります。

 ここは、日本人村になっていまして、カンポットペッパー協会の中でも面積では最大勢力です。

 昨年9月、13ヘクタールの敷地のうち4ヘクタールに胡椒を植えました。植えた苗は順調に育っていて、来年の丁度今頃には最初の収穫ができる見込みです。

 胡椒プランテーションを外から見た写真です。ヤシの葉に覆われている部分が200m続きます。

中から見たところです。

 ご覧のように、胡椒を植えるには畝を作り、その上に3mほどの添え木を建てます。胡椒はつる性の植物なので、添え木に巻きついて成長します。 現在は私の背丈を超えるところの高さまで巻き付いています。
また、1年未満の若い胡椒は直射日光を嫌うため、ヤシの葉の覆いをします。

 我々の農園は、カンポット・ペッパー協会に所属し、出荷する胡椒は「Kampot Pepper」ブランドを名乗りますが、そのためにはこの協会の胡椒育成ガイドラインを守る必要があります。

 「Kampot Pepper」は完全な有機栽培なので、肥料も決まった有機肥料を使いますし、殺虫剤もKrab Slengという毒の入った木の実を砕いて作ります。因みにこのKrab Slengは人でも簡単に殺傷する力があります。

 「Kampot Pepper」は完全有機栽培で手をかけて作る世界的なブランドなので、売値はカンボジアで作る通常の胡椒の2倍以上です。通常胡椒が$4-5/Kg程度に対し、「Kampot Pepper」の黒胡椒は$11/Kg、赤胡椒、白胡椒は$20/Kgになります。

<目下の課題は水不足>
 胡椒は大量に水を食う植物です。少なくとも3-4日に一回は1本の添え木に対しバケツ1杯分の水をやる必要があります。
雨季は毎日のように雨が降るので天水でOKですが、12月から4月の乾季には雨がほとんどないので、人が水を与える必要があります。

 そのため大量の水を蓄えておく必要があり、通常は以下のような貯水池を掘ります。 この我々の貯水池は、55mx35mx深さ7mのオリンピック・プール並の大きさがあります。

 パワーショベルでこのような池を掘ると、地下から水が湧きだしてきますし、雨季には毎日のスコールを溜め込むことができます。

 通常は、このような貯水池で十分なのですが、今年の乾季は水不足の問題が起こっています。近隣のケップ特別市の胡椒農園では、多くの農園が水不足に苦しんでいます。例えば、カンポット・ペッパー協会の副会長の農園では、水不足のために枯れたり胡椒の収穫ができなくなっています。

 弊社の隣の日本人の方の農園も貯水池に水が無くなり、急遽道を隔てた別の農園の貯水池から水を運んでいます。

 原因は、昨年、一昨年と雨季の雨量が平年より相当少なかったためです。
ケップでは、平年4月から雨が降り出して6月には毎日スコールが降りますが、昨年は4月に入ってもほとんど降らず、毎日スコールが降ったのは8月に入ってからです。

 幸いなことに、弊社の貯水池はまだ水深1.5mほどあり、今年の乾季は何とか乗り切れる見込みです。
但し、今年は胡椒の植え付けを増やすので、来年の乾季には今年以上の水が必要になり、今の貯水池だけでは不足の恐れがあります。

 もし来年の乾季に備えて貯水池を増やすなら、今年の雨季にスコールを溜めるために、本格的な雨季に入る前に作っておく必要があります。

 しかしながら、新しく貯水池を掘るにはかなりの出費になりますので、なるべくなら避けたいところです。

 そこで現時点では、井戸で何とかならないかを検討しています。井戸は貯水池の真ん中を30mほど掘ったものがあるので、そこから大きな汲み上げ式ポンプで大量に水を汲み上げる訳です。

 下の写真はその汲み上げ式ポンプを井戸につないだところです。


 これから、井戸からの汲み上げテストをして十分な水が確保できるのかどうかを確認していきます。

 ところで、弊社の農園のある「胡椒日本人村」に属している、日本胡椒協会の林さんの胡椒専門店が4月12日にテレビで取り上げられ、ユニークな胡椒の塩漬け「食べる胡椒<生こしょう>」が紹介されました。

 最後におまけ、うちの農園のマスコット嬢(推定3歳)。お父さんお母さんと農園で暮らしています。

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