カンポットペッパー農園記事(その7)

赤胡椒、黒胡椒、白胡椒、青胡椒は同じ1本の木から

 弊社は、カンポット州とケップ特別市で胡椒農園を運営しています。今回はこの農園で出来る胡椒の種類についてお話します。

 実は我々の食卓に上る胡椒には、赤胡椒、黒胡椒、白胡椒、青胡椒の4種類があります。
これらは全て同じ1本の木からできるのですが、収穫時期や製法が異なるために色や味、風味に違いが出てきます。

 胡椒の実は、実った初めは青(グリーン)でだんだん黄色っぽくなり、熟すにつれて赤味がかってきます。
 通常は、赤味がかる前に収穫してそのまま乾燥させます。一番風味が強いからですが、これが黒胡椒です。(下の写真)

 完全に熟してから収穫して乾燥させたものが、赤胡椒です。黒胡椒よりも味がマイルドになります。‘完熟黒胡椒‘などとも呼ばれ、取れ高も少ないので珍重されます。

 同じ1本の房でも下の写真の様に、赤胡椒(赤い実)と黒胡椒(になる緑色の実)が取れます。

 白胡椒は、黒胡椒になる実の皮を取って白い種の部分だけを乾燥させたものです。(下の写真)黒い皮の風味を感じずに、胡椒の本来の辛味が味わえます。


 これら赤、白、黒の使い分けですが、赤は黒の完熟版でマイルドになっているだけなので、基本は黒と白の使い分けになります。

 辛味の欲しい時には白、風味の欲しい時には黒とも言われ、魚料理には白、肉料理には黒ともいわれますが、実際には、個人の好みに依るところが大きいようです。
 例えば、私の場合、強い風味が欲しいので魚にも黒をよく使います。

 さて、青胡椒は何か?というと、熟す前のグリーンの実を収穫してそのまま野菜のように使ったものです。
 食卓では、乾燥させずに生のまま使いますので、カンボジアのような胡椒産地ならではのものになります。
 下の写真は、収穫後3時間のものです。冷蔵しないと2日くらいですぐに黒くなって使えなくなります。

 この青胡椒を使ったカンボジアの代表的な料理が、イカの青胡椒炒めです。

 何とも言えない、新鮮な胡椒の爽やかな風味が海鮮に良く合います。青胡椒の辛味は黒胡椒などよりはるかに少ないので、野菜として使われるのですが、青胡椒を房ごとガブリとやると大変なことになります。
 日本人は一粒ずつ食べた方が無難です。

 青胡椒の収穫時期は、丁度今、11月~12月になります。それ以降になると実が熟して固くなってしまいます。
 そして、十分に熟して固くなったものを翌年2月~5月に赤、黒、白胡椒として収穫するわけで、農園としての本格的な収穫作業になります。今から、それが待ち遠しいです。

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