新しい胡椒農園の開発

2014年7月5日

このところ、キャッサバの植え付け作業に追われてその関係の記事ばかりになっていましたので、今日は趣向を変えて胡椒関係をお送りします。

弊社は、カンボジア南西部Kep特別市で、昨年から胡椒農園を運営しており、今年一部収穫がありましたが本格的な収穫は来年2-5月です。

今年は、その胡椒農園から北東に約50Km、首都プノンペンから約100KmのKampot州の土地18ヘクタールを入手して、2つ目の胡椒農園を開発しています。
丁度開発が佳境に入ってきましたので、胡椒農園の開発の様子をお伝えします。

(新農園用地 地図(地名は伏せてあります))

1ヘクタール前後の小さな区画を順番に買い集めて、上記の緑と赤の点の区画で18ヘクタールです。

先ず、新農園用地は最初は林でした。これを下のブルドーザーで根っ子から押し倒して木をクリーンナップします。

下は一旦クリーンナップされた状態。木の破片が散乱しています。

木の破片をかき集めて燃やします。

その後、トラクターで3回耕作して土を細かくして、胡椒が植えられる土壌となります。
その後、胡椒の添え木を立てる作業に移ります。胡椒は元々森の木に巻き付くつる性の植物なので、胡椒を巻き付けるための3mほどの添え木を立てる必要がある訳です。

上の写真は運ばれて来た添え木の一部です。1ヘクタール当たり1500本の添え木を立てます。
添え木を立てるためには、立てる位置を特定するために目印として細く切った竹片を立てます。
下の写真の白矢印が竹片です。

そして、今日はいよいよ1500本の竹片の目印のポイントに穴を掘って添え木を立てました。弊社のケップ特別市の農園からの応援部隊も含めて50人がかりで1日で立ててしまいました。(下の写真)

この後は、1500mのワイヤーを周囲と屋根の部分に張り巡らし、その上にヤシの葉をかぶせて屋根を作ります。下の写真は準備されたヤシの葉です。1ヘクタール当たり2000枚必要です。

ヤシの葉をかぶせると、以下の写真の様になります。何故ヤシの葉の屋根が必要か?というと、胡椒は上記のように元々森の中の直射日光のあまり無いところの植物なので、特に1歳までは直射日光で死んでしまうからです。

その後に、添え木を中心に畝を作って胡椒の苗を植えます。1本の添え木に2本の苗を植えます。
以下の写真は植えた直後です。

これで、一応は胡椒畑の方は完成になります。
胡椒農園に欠かせないもう一つは、貯水池です。胡椒は3日に1回は1本の添え木当たりバケツ1杯分の水を与える必要があります。雨季には天水だけでOKですが、乾季、特に1滴も降らない2月-3月には貯水池は不可欠なのです。
井戸を掘って井戸水で灌漑すれば良いという考え方もありますが、カンボジアの井戸水は若干のヒ素を含んでいます。そのため、カンボジア人は日本人と異なり井戸水は飲みません。それよりも雨水を溜めておいて飲むのです。胡椒にも井戸水を直接使うわけにはいきません。井戸水を一回貯水池に溜めてヒ素を沈澱させて除去してから使います。下は新農園の貯水池で、若干雨水が溜まってきました。

この貯水池は40mx35mx深さ7mあります。ここに半分ほど水が溜まれば次の乾季は乗り切れます。

ところが、現在の課題は貯水池の水不足です。普通はこれだけ掘ればある程度地下水が浸みだして来るのですが、ここは粘板岩の固い地層になっているので、地下水が当てにできず雨水だけが頼りです。

しかしながら、現在のところ、このKampot州は本格的なスコールが非常に少ないので雨水が不足状態です。
胡椒苗の植え付けは8-9月なので、そのころまでに水確保の目途を立てる必要があります。そこで今、井戸業者に依頼して地下水脈の調査を始めました。この土地は18ヘクタールの広さがあるので、100mも掘ればどこか地下水脈に当たる場所があるはずです。

カンボジア東北部Kratie州にある弊社のキャッサバ・プランテーションでは、連日のスコールの為に地面が緩んでトラクターが滑って動かない状態で苦しんでいますが、皮肉なことにこちらはは全く逆です。どちらにしても水難の相がはっきり出ていますね。