天然ゴム価格の暴落

2014年9月28日

天然ゴムの国際価格が暴落しています。ただし、3年間をかけて徐々にですが3年前の高値の
1/4にまでなりました。

主産地のタイ、マレーシアではすでに生産原価を割っており、大きな政治問題になっています。
実際、タイ現地の農民からのゴム樹液買取価格は、50バーツ(165円)を割ってきており、天然ゴム生産者の大半を占める零細農民には死活問題です。

何故そんなに暴落したのか? 根本原因は需給が緩んで供給過剰気味になっているためです。
先ず、供給サイドですが、グラフでご覧になられるように2008年に天然ゴム価格が高騰しました。

そのため、各国で天然ゴムの新規植え付けが激増したのですが、その時の苗木が成長して5、6年後の去年から今年にかけて樹液が取れ始め、大増産となった訳です。
(天然ゴムは苗の植え付けから5-6年で樹液が取れるようになります。)

次に、需要サイドです。天然ゴムの80%は自動車タイヤに使われます。現在自動車の最大の生産国は中国で、年間2000万台以上が生産されます。かつて最大の生産国だったアメリカは今年1600万台程度に回復した程度です。

中国はご案内の通り近年まで急速な経済の拡大を続けてきました。一昨年くらいまでは「保八」と言われ年率8%の成長率を確保するのが基本政策でした。ところが、昨年からはそれを放棄して身の丈に合った成長速度にするように政策を変更して来ています。

そこで、急速に増産されて来た自動車数に急ブレーキがかかってきました。加えてPM2.5の原因をなくすためにも自動車の増加に規制がかかってきています。

以上のような理由で、需給が緩んで価格も弱くなってきたところに、国際投機マネーが徹底的に売り浴びせてきたために大暴落となったのです。

さて、この暴落の弊社天然ゴム農園への影響ですが、幸いなことにこの状況の下でも利益が出ています。
主産地のタイ、マレーシアでは、上記のように既に生産原価割れの状態ですが、カンボジアでは人件費をはじめとする経費がタイの数分の1と極端に安いために、まだまだ利益が出るわけです。
(弊社の天然ゴム農園)

このように経費が極端に安いことが、私がカンボジアに来た大きな理由の一つです。
ただ、適正な利益を得るためにも天然ゴム価格が早期に戻ることを願っています。

タイ・マレーシアでは、価格を戻すための対策が徐々に取られてきており、価格の底打ちが近いとも言われています。
次回はタイでの現在の対策や、価格を戻すための方策について書く予定です。