2014年12月10日
以前もブログに書きましたが、知人や新しく知り合った方々からも良く「なぜカンボジアで農業を始めたのですか?」と聞かれます。最近もお会いした方から聞かれて、理由を説明したのですが、あまり納得顔ではありませんでした。
なぜ納得されないのかと言うと、やはりこの方の質問に十分に答えていなかったのです。
つまり、この質問は実は以下の3つの疑問を1つの文で表しているのに、3つの疑問全てには答えていなかったのです。
①なぜ、50歳を過ぎて起業したのか? (仕事人生終盤でそんなにリスクを冒さずとも良いのに)
②それもなぜ、カンボジアのような(カントリー・リスクの高い)国で始めたのか?
③しかも、(それまでITの世界にいたのに全く違う)農業なんかを始めたのか?
いつも、なぜカンボジアで、なぜ農業かは、これまでブログに書いてきたように、カンボジアでの農業の投資効率の高さを説明して答えてきたのですが、①のなぜ50歳を過ぎて起業したのか、にはあまり的確に答えてきませんでした。
どう答えれば分かってもらえるかと考えた時に、同じように50代、しかも後半で起業された出口治明・ライフネット生命保険会長兼CEOが日経産業新聞(2014年10月2日)に書かれた「50代、起業も人生の選択肢」という記事がかなり明確に答えていて、思わず膝を打ちました。
主要部分を引用します。
「50代で起業なんて……」と思う人もいるだろうが、実は50代ほど起業に向いた年代はない。50代には幅広い交友関係があり、資金調達の手段も知っており、ある程度目利きの能力も備わっている。20代や30代なら、どれもまだ持ち得ないノウハウだ。
また、50代ともなれば、ある程度プライベートのライフスタイルも見えてくる。つまり、起業するには、はるかに50代の方が条件が整っており、その分リスクが低い。50代は自分がやりたいことにチャレンジしやすい年代なのだ。」
この記事は、非常に明快に50代の起業の利点を述べていますが、自分のケースでも20代、30代のうちはまだ起業に必要な様々なスキルや資金調達力も無く、客観的に見ても起業は無理でした。 第一、自分でもそのようなリスクを冒す能力があるとはとても思えませんでした。
やはり40代までに多くのビジネス経験を積んだ結果、自然に起業に必要な条件が満たされるようになったのだと思います。
自分の周囲を見渡してみても、実は、50代でそのような起業に必要な条件を満たしている方はかなりおられると感じますが、多くの方が起業するわけではありません。
恐らく、多くの方が(現在の仕事とは別の)自分のやりたいことを持っておられると思いますが、チャレンジする方は少ないのが現状です。
‘起業の国‘アメリカでは、MBAの中に「起業家コース」というのがあって、文字通り起業の仕方を勉強するのだそうですが、近年は優秀な学生が集まってくるそうです。
但し、そのコースを出た優秀な学生が起業するかというと、必ずしもそうではありません。
起業するのは、優秀か否かに関わらず、性格的にリスクを取るタイプだということだそうです。このコースでは起業のリスクの実態も重点的に教えるので、優秀な学生がとてもリスクを冒せないと起業を止めるケースも多いそうです。
確かに、自分の場合も「エイ!」と清水の舞台から飛び降りるような気持ちで始めてしまったので、リスクを取る性格というものに当てはまるのかもしれません。
50代で会社人生の終盤に差し掛かり、今後何をしていこうかと考えている方の中で、リスクを取れるタイプの方には、起業も十分に一つの選択肢だと思います。