2014年3月6日
昨日、胡椒用地取得のためにカンポットを訪れました。
この土地は、これまでにカンポット・ペッパー協会の胡椒の専門家とともに3回調査に来て、土壌が胡椒に適していることを確認しており、是非とも欲しい土地です。土地の質は我々のケップの胡椒畑に近く、それというのもケップからカンポットにかけて同じ質の土壌が北に広がっているためです。
何故3回も調査にきたかというと、この土地は50ヘクタールありますが、全てが胡椒に適しているわけではないので、50ヘクタールを踏査して胡椒に適した部分を特定し、GPSで緯度経度を調べて地図にマッピングする作業が必要だったためです。
以下は現地の写真です。原生林を一度伐採して木を炭焼き用に採ったあと数年放置され、低い木や草が生えています。これらの木や草はブルドーザーで一気にクリーンアップすることができます。
昨日は、先ず土地の販売仲介者が地元のコミューン長(Commune Chief)2名を連れて来て一緒にミィーティングになりました。コミューンとは村の上の自治体の単位です。
コミューン長が土地の権利書類を預かっているという話だったので、我々としてはそれらの書類を確かめた上でコピーを取って、州の登記所で裏取りする手はずでした。
というのは、この土地は州に登記してある所謂「Hard Title」の土地なので、州の登記所で所有情報が確認できる(はず)だからです。
ところが、ミーティングの開口一番仲介者からパンチが飛んできました。
我々: 「権利書類を見せてください。、コピーが欲しい。」
仲介者&コミューン長:「権利書類はここにない。コピーも出せない。この土地を本当に欲しいことを示すために、先ず1万ドルをデポジットとして渡してほしい。もし買わない場合でも1万ドルは返さない。」
我々: 「?!?!?! あなた方が本当のオーナーの代理人かどうかもハッキリしないのになぜ1万ドルも出すのか?」
「土地の情報が欲しければ1万ドル出せ」、「なぜ情報を取るために1万ドルも必要なのか?」と押し問答が30分続きました。契約処理のために頼んだ土地買収に詳しい弁護士も、「こんなことはあり得ない」と困惑でした。さすがはカンボジア!、常識ではあり得ないことが度々発生します。
私が「我々がこの土地を欲しいのは本気だ。1万ドルではないが土地取得のために、この通り1200ドルも出して弁護士を雇っているではないか。」と言うと、コミューン長の一人がぼそぼそと所有者名をつぶやくように言い始めました。
結局村の名前と18名のオーナーの名前がわかりました。この土地には約30名の小規模オーナーがいるそうなので一部が分かったことになります。この時はこれ以上は無理で一旦撤収しました。
以下はミーティング時の写真で、右、真ん中のご年配の2人がコミューン長で、左が仲介者(コミューン長の孫)です。
そのあと、州の登記所に行こうと、電話で連絡を取ったのですが、「担当官が午後はいない」ということで断念しました。本来は登記書類は誰にでも公開しなければならないはずなので、担当官は当然午後もいるはずなのですが、一見さんには見せたくないようです。
さすがは、カンボジア!そこで、何とか担当官の知り合いを通じて土曜日に登記所のアポを取りました。ということで、この日は折角1日がかりでカンポットまで出向いたのに、パッとしない結果でしたが、ここは通らなければならない1ステップです。カンボジアでの土地取得は困難な仕事です。。
<追記>
後日、登記所の所長にその知り合いを通じて協力を頼んだところ、担当官や登記システムを総動員して協力してくれました。 結果として、この土地の所有権はやはりHard Titleで、問題なく買収できることが判明しました。
やはり、カンボジアは人脈の世界で、トップを押さえるとその命令一下組織を挙げて協力してくれます。
え!我々だけのためにこんなにしてもらっていいの?という感じです。但し、知り合いがいなければ、全く何もできません。
さて次は、いよいよ頑固な仲介者との交渉再開です。。。