オーガニックのカンポットペッパーには、無農薬なので虫が付く

 カンボジア南西部のカンポット州・ケップ州だけで栽培される、カンポットペッパーは完全有機栽培。当然無農薬なので様々な虫が付きます。

<木の葉や生の実に付くMealy Bug (ミーリーバグ、粉貝殻虫)>

 新型コロナ並みに感染力が強く、植物の「ペスト」とも恐れられている、Mealy Bug(粉貝殻虫)は中でも一番厄介です。
この虫は、木の葉や生の実に取り付いて、汁を吸って生きています。
虫の大きさは1~数ミリ程度で非常に小さく、周りを粉で覆っているので、葉や実に何か白いものが付いている?としか、近づいてよく見ないとわかりません。
(生の実に付くMealy Bug)

 それで気が付かないで、放っておくと大変なことになります。
この虫は繁殖力が凄まじく、1か月で数百万倍に増えますので、気が付いたら農園中に蔓延していた、ということになりかねません。

 汁を吸われた胡椒は弱って、他の病気にも取りつかれやすくなり、枯れてしまうことも
あります。

 対策は、常に農園全体を見て回り、Mealy Bugを発見したらすぐに、周りの枝や胡椒の実の房ごと取ってきて焼却します。
当然農薬は使用できないので、有効な対策は虫を取り除き、取り除いたものから風などでまた病気が広まらないように焼却するしかありません。

 1つ見つかると周りの木にもいるケースが多いので、ワーカーを数名呼んで周り一帯を捜索して全部を取り除き、必ず全て償却します。

 この時に重要なのは、取り除くときに直接手で触れない、この作業中手でむやみに他の胡椒などに触れない、焼却後はすぐに手を洗うということです。
この虫の粉に卵が居るので、粉が手に着くと、下手をすると知らずに卵をまき散らすことになるからです。その点、この植物の「ペスト」でも新型コロナ同様に手洗いが欠かせません。

 発生地点一帯から十分に取り切った、と思ってもまだ油断ができません。
次は、完全有機栽培の為、天然の植物だけで作った「殺虫剤」を撒きます。
「殺虫剤」と「」が付いているのは、実際には虫を殺せるわけではなく、虫が嫌がって逃げるものだからです。農薬のような決定的な効果が出せないのですが、仕方がありません。

 クレンスレングという有毒な木の実を潰したものを主成分に、タバコの葉や有毒のつる草等を水に1週間程度漬け込んだものを散布しますが、強烈に嫌な臭いがします。

 さて、Mealy Bugはカンボジアにも体の大きさの違う複数種類が居て、様々な植物にとりつきます。
これまでの栽培経験では、キャッサバ(タピオカ)やパパイヤで発生しました。

 特に2014年にカンボジア東部クラチェ州でキャッサバ農園を運営した時に、折角タイから大量に輸入した苗が、大半これでダメになって大損害を被りました。
(2014年のブログにも詳細を書きました)

 それ以来、私はこの虫を蛇蝎のように嫌って、初めて胡椒農園で見つけた時にはショックを受けました。頻繁に農園中を見回って発見すると即座にワーカーを集めて対応するようにしています。
完全有機、無農薬のカンポットペッパーには、栽培の為に、このように通常よりも人手と愛情が必要なのです。

(次回は乾燥した硬い胡椒に付く虫のお話しです)

カンポットペッパー農園の今:高品質な胡椒を選別

 カンボジア南西部のカンポット州・ケップ州は美味しいオーガニック胡椒、カンポットペッパーの産地です。

 カンポットペッパー農園では、収穫後の施肥、施設メンテナンスの後、胡椒の選別作業に入っています。

<オーガニック胡椒、カンポットペッパーの条件>

 日本の農協にあたるカンポットペッパー協会(Kampot Pepper Promotion Association)は100年前からの完全な有機農法を厳密なガイドラインとして定めています。このガイドラインを守る農園だけが会員として、カンポットペッパーの名前を名乗ることができます。

 

ガイドラインの例:

・完全に有機肥料を使用する 牛糞、牛骨粉、こうもり糞を中心とする有機肥料のみ使用。
・農薬の不使用 除草剤、殺虫剤などの農薬は使用禁止。
・施設の規則 胡椒の添え木は木材のみ。屋根はココナツの葉か寒冷紗。添え木の間隔、1ヘクタール当たりの添え木(胡椒の木)の本数制限。(十分な間隔を開け、風通しを良くして病気を防ぐ為)
・胡椒の種類 クメール種のBig leaf、Small leafと呼ばれる2種類のみを栽培。栽培が比較的簡単な「インド種」、「マレー種」は禁止。
・製品 決められた以上の大きさ、色、形の条件を満たすもののみ。条件を満たさない胡椒の実はカンポットペッパーを名乗れない。

 

<オーガニック胡椒、カンポットペッパーの品質にこだわった選別>

 胡椒の収穫と乾燥が終わった後、カンポットペッパーであるための上記の最後の条件を満たす胡椒の実だけを選別する作業が一仕事です。

 乾燥された胡椒の実のうち、黒胡椒は約50%、赤・白胡椒は約80-90%しか1級品としてカンポットペッパーを名乗って出荷できません。

 1粒1粒手作業で選別するため、1人で1日1~2kgしか選別できません。

 農園からの出荷量はトン単位ですが、1トンを選別するために1人でやると1年半はかかることになります。

 うちの農園でも半数弱が女性ワーカーですが、彼女たちはほぼ1年中朝から夕方まで選別作業に取り組んでいます。出荷が集中する時にはそれでも間に合わず、日雇いワーカーも数十人雇って選別します。

 こんな時には、騒ぎを聞きつけて、カンポットペッパー協会の会長始めスタッフがやって来て、正しく選別するための指導と品質確認をやってくれます。

 この様に、カンポットペッパーは徹底的に手をかけて、高品質な胡椒だけを出荷しています。ここまで品質にこだわっているのは、世界でもカンポットペッパーだけだと思います。

 

 

 

カンポットペッパー農園の収穫後の仕事

 カンボジア南西部カンポット州・ケップ州に在る、うちのカンポットペッパー農園では、5月下旬に収穫作業が終わりました。

 胡椒の木は実を力一杯産んだので、産後に消耗して栄養が必要な状態になっています。そこで、収穫直後から肥料を与えて体力を回復させます。

 肥料を与えるためには、まず除草です。除草しないと肥料をやっても雑草の餌になってしまいます。

 熱帯のカンボジアは日光が豊富で、雨期には水に不自由しない為、雑草の茂る速度が速く、量も日本の比較にならないほど多いです。

 そこで除草が一仕事なわけですが、カンポットペッパーは完全有機栽培の為、農薬などの除草剤が使えません。

 その為、畝の周りで刈払機は使えますが、畝の木の近くは全て人手で「チョッカ」と呼ばれる鍬を主に使って草取りをします。

(刈払機による除草の様子) (チョッカ(鍬)による除草)

 草取りが終わると、やっと施肥が可能になります。

 肥料は、牛糞堆肥、こうもり糞、牛骨粉がメインになりますが、その他は各農園が独自の有機肥料をアレンジします。

 牛糞堆肥は土質の改良、こうもり糞は窒素分の栄養補給、牛骨粉はリン酸分の補給になります。

 肥料と共に新しい土も大量に入れて、微量元素などを補給するのも伝統的なやり方です。但し、うちではここ数年大量の土だけを入れることはやっていません。

 一定量の新しい土を牛糞堆肥に混ぜて寝かせたものを施す事で十分と判断しています。

 実は微量元素は牛糞堆肥などの肥料に十分に含まれています。

(牛糞堆肥と土を混ぜる様子) (牛糞堆肥の施肥の様子)

 カンボジアでは牛を放し飼いにしている農家が多く、牛糞を溜めて堆肥にしているところも多いので、非常に安い牛糞堆肥に不自由しないわけです。

 また、うちの肥料の特徴の1つは、カニ殻を使っていることです。

 カニ殻は窒素、リン酸を豊富に含む優れた肥料ですが、キチン質を含むために土中の放線菌類を増やす働きがあります。

 放線菌は、胡椒の大敵カビ類や線虫の外側のキチン質を溶かす酵素を出すので、放線菌が増えると病害虫を抑制することができます。

 但しカニ殻は高いので、「欲しいけど、どうしようか?」と考えていた時に、「そういえば近くの海岸のカニ市場のレストランで大量のカニが食べられているなあ。その殻を集められないかな?」と思い至って、カニ殻を安く入手できるようになりました。

 カニ殻を海岸で大量に入手してきて、自前の粉砕機で粉にして使っています。

(カニ殻集めの様子) (カニ殻の粉砕の様子)

 施肥と共に重要なのが、設備のメンテナンスです。

 収穫期の2、3か月間は他の作業があまりできないので、胡椒の添え木が折れたり、屋根のネットが外れたりしているところも出てきますので、これらのメンテナンスも行います。

(添え木の交換の様子) (胡椒の新しい添え木)

 

カンポットペッパーがますます身近に! カンポットペッパー完熟赤胡椒がマコーミック・ブランドで発売!

 ユウキ食品(株)様から、うちの農園の完熟赤胡椒が、「マコーミック」ブランドで今年の春に発売になりました。

「マコーミック」はアメリカ生まれの有名ブランドで、私が子供のころには日本でも胡椒の代名詞のようでしたので、大変光栄な限りです。

 白・黒・ピンクペッパーではなく、これまで日本にないカンポットペッパー特有の完熟赤胡椒に焦点を当てての発売です。

 

<マコーミック・ブランド カンポットペッパー発売の経緯>

 思い起こせば2年前の夏、カンボジアの首都プノンペンでの出来事です。

 普段住んでいるカンポット州から、用事で首都プノンペンに運転して、丁度到着したタイミングで携帯が鳴りました。

 知らない日本人の方からですが、偶然すぐ近くにおられるとのことで、お会いすることになり、お昼ご飯をご一緒しました。

 旅行でカンポットの胡椒農園を探しておられたとのことで、その時に持っていた赤胡椒のサンプルをお渡しすると、それをユウキ食品様の役員さんに渡してくれました。

 その時から、一時帰国のタイミングでその役員さんにお会いして、カンポットペッパーのお話をさせて頂くようになり、昨年うちの農園から赤胡椒を出荷しました。

 その後、昨年11月の新宿の展示会出展にお越しいただいてお話しさせていただくなどして、今年のマコーミック・ブランドでの発売となりました。

 私は普段首都プノンペンから車で3-4時間かかる、農園のあるカンポット州に居ますので、プノンペンに来ることは珍しいのです。珍しくプノンペンに来たタイミングに、しかもすぐ近くから電話を頂かなければ、今回の発売も無かったことになったはずですので、不思議な偶然があるものですね。

 こんな偶然から始まった「マコーミック」ブランドの完熟赤胡椒ですが、多くの人に味わって頂きカンポットペッパーが更に身近なものになるきっかけになれば、と願っています。

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その4

<免疫力アップと血流改善とカンポットペッパーの塩漬け生胡椒>

 これまで3回にわたり、

アフターコロナ時代には、免疫を高めて予防が大切だが、胡椒・生姜には免疫アップに不可欠の血流改善に効果があり、胡椒では主成分ピぺリンに血流アップ効果がある。
カンポットペッパーは、有効成分ピぺリンを他の20%以上多く含む。
特にグリーンペッパー(生の胡椒の実)の塩漬け生胡椒で、ピぺリンが美味しく摂れる。

というお話をさせて頂きました。

<カンポットペッパーの塩漬け生胡椒とは>

 カンポットペッパーの塩漬け生胡椒は、グリーンペッパー(生の胡椒の実)をカンポット州の海塩に漬け込んだもので、常温で1年以上長持ちするので、手軽に安心して日本に持ってくることができます。

 塩漬けにすることで、胡椒の内部にあったこれまでにない旨味が表面に出てきます。

(下の写真は塩漬け生胡椒)

 弊社は毎年11月初旬に、新宿駅西口広場イベントコーナーで開催される、「Tokyo 三ツ星バザール」という展示即売会に出展しています。

 この展示即売会では、毎年、試食していただいたお客様の70%―80%にお買い上げ頂いています。(写真は展示会の様子)

 「確かに塩漬けの胡椒だけど、普通じゃない味だね!」、「これまでない味だけど美味しい」などというご評価を頂いてきました。

 また、インバウンドの中国人、欧米人のお客様にもよく売れます。「美味しいものは世界共通」といった感じです。

 展示会では「どうやって食べるの?」というご質問をよく頂きますが、下の写真のように、肉料理、魚料理、パスタ、サラダ、スープなどにそのまま粒ごとか、刻んで入れて頂くと料理が変わってきます。卵かけご飯、納豆、バニラアイスにも実は良く合います。

 

<塩漬け生胡椒を作る様子>

 上の写真のように、胡椒の房から一粒一粒実を分けて塩漬けにするので、非常に手間暇がかかります。人件費の安いカンボジアでないと難しいかもしれません。

 下は、使用するカンポット・ソールト(カンポット州の天然海塩)作成の様子です。

「香りのレッドカンポットペッパー」の魚肉ソーセージがコンビニで発売!

 赤胡椒は、カンボジアの南西部カンポット州・ケップ州特産のカンポットペッパー特有の胡椒ですが、他の胡椒にない旨味とマイルドな香りに特長があります。

<カンポットペッパーの赤胡椒のソーセージが新発売>

 この特長を生かした、赤胡椒パウダー入りソーセージが、コンビニで発売されました。

((株)丸善様が製造・販売)

 パッケージに「香りのレッドカンポット」と入れて頂きました。「カンポットペッパーもだいぶ身近になったなあ」、というのが率直な感想です。

 昨年からお客様が複数回の試作と評価を繰り返して、発売にこぎつけました。最初は、粗挽きの方が香りが一層生かせるので、粗挽きで試作しましたが、細挽きの方が味・香りが均等になる、とのことで細挽きに落ち着きました。

 もし、コンビニで発見したら、是非お試しを!

 さて、カンポットペッパーの赤胡椒は、日本でおなじみのピンクペッパーとは違い、本当の胡椒の実で、黒胡椒、白胡椒と同じ房にできます。因みにピンクペッパーは、胡椒ではなく「西洋ナナカマド」の実です。

 左上の写真は、胡椒の房を収穫した写真で、同じ房に緑、赤、橙、黄色の実が混じっていますが、房から赤い実だけを手作業で1粒ずつ外して集め(右上写真)、煮沸し天日乾燥します。下の写真は完成した赤胡椒です。

一粒、一粒に相当の人手がかかっていますね。

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その3

<免疫力アップと血流改善とカンポットペッパー>

 前々回の記事で、

アフターコロナ時代には、免疫を高めて予防が大切。免疫を高める食材として、胡椒や生姜が改めて注目されてきた。
胡椒・生姜には免疫アップに不可欠の血流改善に効果があり、胡椒では辛味成分ピぺリンに血流アップ効果がある。
カンポットペッパーは、辛味成分ピぺリンを他の20%以上多く含む。

というお話をさせて頂きました。

<胡椒のピぺリンを美味しく自然に摂る方法>

 このように健康効果の高いピぺリンなので、大手製薬会社も胡椒やヒハツなどから抽出したものをサプリとして販売しています。

 ただ、自然な形でピぺリンを摂りたいという方も大勢いらっしゃると思います。

 胡椒は調味料として少量しか使わないので、普通に乾燥の黒胡椒や白胡椒を使っても、それほどの量のピぺリンは摂取できません。

 その場合、胡椒の粒を丸ごと食べられるグリーンペッパー(胡椒の生の実)を食べるという方法もあります。

 実際、私の住んでいるカンボジアのカンポット州では、現地のカンポットペッパーのグリーンペッパーを野菜のように使って、海鮮との炒め物などがよく食べられています。(下の写真)

 しかし、現実的には、日本でグリーンペッパーを食べるのは非常に難しいですね。

 カンボジアでは、グリーンペッパーを野菜として使う他に、酢漬けや塩漬けにして長持ちさせて使います。

 西洋人には、酢漬け(ワインビネガー漬け)が、一部評判が良いのですが、私は日本人にはやはり塩漬けが合う、と思います。

 そこで、(グリーンペッパーは売るほどできるので)塩漬けを試作してみましたが、生の胡椒の実にはない、独特の旨味と良い香りが出てきます。

 材料は、本当に生の胡椒の実とカンポットの海塩のみですが、塩漬けにすることで胡椒が本来持っていた複雑な旨味が表面に出てくる感じがします。(下は塩漬け生胡椒の写真)

 塩漬け生胡椒を商品化してみると、日本人はもちろん西洋人や中国人にもかなり好評で、 乾燥胡椒は、ミルで挽いてほんの少しずつしか食べませんが、塩漬けにすると胡椒の粒を丸ごとでも、全然抵抗なく美味しく食べることができます。

 アメリカや香港からも多く引き合いがあります。

 また、某オランダ人経営の胡椒メーカーはうちの詳細レシピを不当にコピーしてプノンペン空港のお土産コーナーで大量に売っています。(泣き)

 以下の写真は、塩漬け生胡椒を使った料理の例です。

(次回は、塩漬け生胡椒について詳細をお話しします)

カンポットペッパーの夕べ

昨夜6月26日、代々木上原のQuindiという洒落たイタリアンのお店で、カンポットペッパーを使った創作料理をご馳走になり、甚く感動しましたので、ブログに感想記事を割り込ませることにします。

(出演者)    
 創作 安藤シェフ(聞き上手なイケメン)とQuindiのイタリアン界の猛者の方々
 プロデュース 味へのこだわりが半端ない「食の女王マギー」こと植田さん
 コメンテーター 「美食の女神」こと保々さん(IBM時代の同期入社で経営学の先生、大手企業の役員を歴任中。私は彼女のFBを見て美食を勉強してます。)
 胡椒提供&美味しく食べただけ 筆者杉田

 詳細は、以下の杉田のFB内の保々さんと植田さんのシェア記事を見て頂ければと思いますが、(https://www.facebook.com/takehiko.sugita.1

 どれもすごく美味しかったのですが、最初の赤胡椒のお茶で衝撃を受けました。

 これまでにないハーブティーの様で、胡椒の辛味をあまり感じず飲みやすい。

 驚愕したのは、飲んですぐに体がポカポカしてきたことです。

 ジンジャーエールやブランディ―の比ではない、お腹だけでなく全身ポカポカ感! 

 実際、飲み物でこんなに体全体が温まったのは初めてで、この体験だけでブログに書きたくなってしまいました。

 恐らく、風邪の引き始めに飲めば、一発で治ります。

 前々回の記事にも書きましたが、アーユルヴェーダ、ヨガなどのインド伝統医学を管理するインドの官庁AYUSH省のレポートで、「免疫を高めるために、生姜と胡椒を摂りなさい」と言っているのには、激しくうなずけますね。

 ただ、単にこのインドAYUSH省の言う通りすると、かなり辛いので日本人には抵抗があります。しかしながら、赤胡椒のお茶はハーブとしての旨味と香りが勝っているので、辛さに抵抗感がありません

 実は、カンボジアでは、胡椒の実を取った房の残った軸を乾燥させて、煎じてお茶として飲む習慣があり、この赤胡椒のお茶と似た味なんですが、味が薄すぎてあまり魅力がありません。ハーブとしての存在感・上品さが似て非なるもので、桁違いです。

 安藤シェフが強調されていたのは、「カンポットペッパーは圧迫クラッシュして使うよりも、普通にミルで挽いた方が独特の旨味が引き出せる特徴がある」とのことで、この赤胡椒茶にもミル挽きが使われているようです。

 この体をポカポカと温めるのは、前回記事のように、胡椒の辛味成分ピぺリンの作用です。

 カンポットペッパーは、ピぺリンが普通の胡椒より20%以上多いので、普通ならば辛過ぎるのですが、赤胡椒の特有のハーブとしての旨味が辛さを和らげるのです。

 また、アイスクリームにベリーを加え、赤胡椒を粗く割って添えたデザートにも感動しました。

 やはり、赤胡椒の「ハーブ効果」が効いて、これまでに無い「ハーブ・アイスクリーム」としか言いようがありません。

 以上は、私の独断と偏見による感想でした。

 その他のお料理の写真も添付します。

 鹿肉パテ入りサラダ:やはり胡椒がないと鹿肉は始まりません。(カンボジアの東北部の鹿肉のジャーキーと似た胡椒の使い方だが、フレッシュ。)

 焼きチョコレート with 黒・赤胡椒:チョコレートが「更にランクアップ」。

 カチョエペペ:極太の麺との相性が絶品! 

 カンポットペッパーの旨味を引き出して頂き、場を設けて頂いた皆様に感謝です。

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その2

<免疫力アップと血流改善>

 前回の記事で、アフターコロナ時代には、免疫を高めて予防が大切。免疫を高める食材として、胡椒や生姜が改めて注目されてきた、というお話をさせて頂きました。

 コロナ対策の免疫を高めるために何が必要か?を知るために、日本の免疫学の第一人者と言われる、宮坂昌之阪大教授の「免疫力を強くする」(講談社ブルーバックス)という本を読みました。

 この本の第8章に「血液循環やリンパ循環を良くしてやれば、その分免疫力が高くなるのです」という記述があります。

 免疫細胞の通り道である血管やリンパ系の通りをよくすることが、免疫機能を働かせるために決定的に必要ということだそうです。

 この本の記述への私の独断と偏見の解釈ですが、平たく言うと、特定の病原体の抗原に反応して退治することができるリンパ球は、全体の10万分の1程度しかないなので、この数少ない割合のリンパ球を、体全体から血流を良くしてすごい速度でかき集めて病原体に充てることが、病原体に勝つ為に必要だということです。

<胡椒の有効成分ピぺリンの効果とカンポットペッパー>

 さて、古来より知られているように胡椒・生姜には全身の血流をよくする機能があります。

 生姜の効能については、日本でもある程度知られこれまで和食でも大いに活用されてきました。しかし、胡椒は調味料として単に味付けに用いられるだけで、健康効果を意識することもありませんので、ここで胡椒の健康効果をお話ししたいと思います。

 胡椒の辛味は、ピぺリンという辛味成分によりますが、ピぺリンは、ダイエットに効果があったり、血行をよくして冷えを解消したり、肌を健康に保ってくれたりするなどの健康効果があります。

ピぺリンの効果①:血行促進

 上記のように、血行促進が免疫力アップのために重要ですが、ピぺリンは体中の毛細血管を拡張して血行を促進し、冷えを防ぎます。

体が冷えることで風邪をひきやすくなることでもわかるように、やはり血流促進は免疫アップに大切ですね。

ピぺリンの効果②:食欲アップして栄養を十分摂取

 胡椒を使うと食事が進みますが、ピぺリンは食欲を増進します。

 どんなに良い食事であっても、それを十分に食べて消化しなければ健康にとって意味がありません。因みに、胡椒の臭い成分のリモネンにも食欲をそそる効果があります。

ピぺリンの効果③:抗菌、防腐、防虫効果

 元々、コロンブスなどの時代に西洋人が胡椒を求めてインドに向かったのは、肉の腐敗を防ぐために胡椒を使いたかったためです。

 現在は冷凍・冷蔵技術や防腐剤があって胡椒の重要性は下がりましたが、夏の食中毒を防ぐなどの為にも効果があります。

ピぺリンの効果④:ダイエット、アンチエイジングなど

 ピぺリンは、交感神経を刺激して、アドレナリンを分泌させ脂肪分解酵素を促進させるといわれています。

 また、ピぺリンには抗酸化作用もあるので、アンチエイジングに役立ちます。

 ところで、カンボジアのカンポット州で栽培される、カンポットペッパーはクメール種という品種で、他のインド種やマレー種よりもピぺリンを20%以上多く含むといわれています。

 カンポットペッパーにより、ピぺリンをより効果的に摂ることができます。

<カンポットペッパーの辛味>

 ギリシャの大手食品会社との商談で言われたのは、「カンポットペッパーの辛味は他の種類の胡椒の20%以上あるので、20%以上高くても買うよ」ということでした。

 また、カンボジアの首都プノンペンの日本人経営の有名ホテルでは、お土産コーナーに普通の胡椒とカンポットペッパーのサンプルが並べて置いてあり、すぐに比較できるようになっています。お客さんがカンポットペッパーの純粋な辛味と強い香りに驚いて買っていく、とのことで、在庫が少なくなると「カンポットペッパーを送れ、送れ」と

 催促が激しいですね。

 この様に、一口食べて頂くと、カンポットペッパーの違いがはっきり判ります。

(次回、胡椒の有効成分ピぺリンを美味しく、十分に摂る方法をお話しします。)

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その1

<アフターコロナ時代には免疫を高めて予防が大切>

 今日、2020年6月16日時点、新型コロナ感染者数は全世界で800万人となり、増加の勢いが止まりません。

 世界中の科学者が特効薬やワクチンの開発にしのぎを削っていますが、まだ制圧するための決定的な対策は出ていません。

 安定したワクチンが出てくるまで数年かかるという専門が多いです。

(ノーベル賞の山中京大教授のコロナブログhttps://www.covid19-yamanaka.com/ など)

 有効なワクチンが出てきて大規模な流行が抑えられるようになっても、インフルエンザのように毎年流行を繰り返すようになる、との専門家の意見もあります。

 アフターコロナとは、何とかしてコロナとの共存をしていく時代になると予想されます。

「コロナとの共存」の為に何が必要か?

 勿論、政府の主導する「新生活様式」として、3蜜を避けて人との距離をとる(ソーシャルディスタンス)ようにお店、事務所、学校などを変えていくこと、テレ・ワークなどITを使った働き方改革などがあります。

 社会の在り方をコロナに合わせて変えていくということですが、一方で私たちが個人でできることは何でしょうか?

 新型コロナウイルスは強力な感染力があり、多くの方が感染している一方、感染しない人や感染しても症状が出ない人も大勢います。

 この違いは、個々の方の免疫力の違いによると考えられています。

 私たち1人1人でできることは、自分の免疫力を高めてコロナに罹りにくくしていくことです。

 免疫力を上げる為には、規則正しい生活をする、ストレスを溜めない、体を冷やさない、適度な運動などが重要と言われていますが、当然のことながら毎日の食事・栄養の取り方も大変重要です。

<伝統医学と胡椒・生姜>

 人類の古来の知恵、中国伝統医学では「医食同源」と言われ、日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防し、治療しようという考え方があります。

 インドで5000年間受け継がれてきた、実践的な生活健康法としての伝統医学アーユルヴェーダでも「医食同源」は大きな柱です。

 我田引水で恐縮ですが、アフターコロナ時代の免疫を高める食材として、改めて注目されてきたものに、胡椒や生姜があります。

 新型コロナ感染対策の一環として、今年インド政府AYUSH省(アーユルヴェーダ、ヨガなどの自然医学を管理する官庁)の研究結果発表「健康的な食事とライフスタイルの実践を通じて、免疫システムを強化するための対策」として、伝統的なアーユルヴェーダの医薬とならんで胡椒・生姜を摂ることが挙げられています。

 胡椒も生姜も東南アジア・南アジアが主産地です。インドの伝統医療「アーユルヴェーダ」ではヨーロッパよりも更に昔、紀元前2500年前には、すでに生薬として活用されていたと言われています。

 胡椒・生姜が免疫を高める理由は、主に全身の毛細血管を拡張して血流を促進するからです。

 胡椒では、辛味成分のピぺリンにその作用があります。

 カンポットペッパーは、クメール種という特有の種類を栽培していますが、クメール種は他の種類の胡椒よりもピぺリンが20%以上多いといわれています。

(次回、更にピぺリンの健康効果などの内容に続きます)