エルニーニョ現象でカンボジアが水不足!

2015年6月1日

最近、日本の気象庁が、エルニーニョ現象が発生しており秋まで続くと発表しました。

ご案内のように、エルニーニョ現象は数年に1回発生する地球規模の気象異常です。
先々週からインドでは、この影響で気温が45度以上まで上昇して、2000人以上の死者が出ていると報じられています。

下の模式図は、エルニーニョ現象を説明しています。

①東南アジア、南アジアの海水温が上昇。 ②赤道沿いに吹く東風が弱まる。 ③雨雲が東南アジアから東に異動する。
という現象で、①の南アジアの海水温上昇のお蔭で、インドの45℃の熱波が起こっています。
また、インドだけではなく、ここカンボジアでも例年以上の暑さとなっています。

カンボジアへの影響は暑さだけではありません。我々の農園にとって死活を左右する雨が今年は極端に少ないのです。原因は、上記③雨雲が東南アジアから東に移動してしまったためです。

我々の農園でも既に以下のような水不足の悪影響が出てきています。
1.キャッサバ農園
カンボジア東北部クラチェ州にあるキャッサバ農園では、昨年は雨季の開始を告げる本格的なスコールが4月7日にあり、翌4月8日にキャッサバの植え付けを始めることができました。

ところが、今年は待てど暮らせど最初のスコールが無く、4月24日になってようやくスコールが降りました。そこで、キャッサバ植え付けも3週間近く遅れてしまいました。

キャッサバの植え付けは、4月、5月の9週間で完了させる必要があるのに、3週間の開始遅れは大きな打撃です。
また、始めてスコールが降った後もスコールの頻度が少ないので、折角植えた苗が水不足で枯れてしまう事態が続出しています。(苗の植付風景)

2.胡椒農園
カンボジア南西部ケップの胡椒農園でも、水不足が深刻です。乾季で雨が降らない時期には、3,4日に一度添え木1本当たりバケツ1杯分の水を与える必要があります。この胡椒農園では、9,000本の添え木があるため、毎回大量の水が必要です。

この水を賄うために、50mx35mのオリンピック・プール並の貯水池を掘って水を溜めています。
ところが、今年は中々雨季が始まらないために、貯水池の水が底をついてきています。

上は、その貯水池の写真。実は、万一に備えてこの井戸の真ん中に、井戸の底から30mの深さまで井戸を掘ってあります。現在はその万一の緊急事態となって、白矢印の井戸から24時間水をくみ上げ続けています。

幸い、カンボジアではどこも地下水が豊富にあり、この農園でも現時点では何とかギリギリ地下水で賄えていますが、目の離せない状況が続きます。

3.天然ゴム農園
カンボジア東部クラチェ州スノール郡にある天然ゴム農園でも、雨が降り始める4月中旬から、乾季に休止していた天然ゴムの樹液採集(タッピング)を再開しました。

ところが、今年は5月になっても雨が少ないので、ゴムの木からの樹液の出が悪く、昨年の80%程度です。ただでさえ天然ゴム価格が長期暴落によって安いので、二重の打撃です。

ただ一方で、ゴムの主産地である東南アジア全体が、エルニーニョ現象のために弊社の農園と同様に、雨季に入っても天然ゴム生産が本格化できていないので、天然ゴム価格を押し上げる方向になってきているという見方もあります。

以上のように、カンボジアの東北部でも南西部でも水不足が深刻で、農園にも大きな影響が出てきています。
日本の気象庁によると、エルニーニョ現象は秋まで続くということなので、カンボジアの雨季の全期間にわたって雨が少なくなってしまうことになります。

改めて、農業がお天気頼みだということを思い知らされる日々が当分続きます。