カンボジアの税務署に2000万円請求された!エピソード

2014年3月13日

閑話休題で、税金に関するエピソードをお話します。

昨年11月のことですが、突然税務署、しかも日本では国税庁の本庁にあたる役所から名指しで、「明日朝に出頭せよ」との命令が来ました。
何のことかと思って、経理と税務所対応をお願いしている会社の担当者に聞きましたが、「今年の売上税(毎月売り上げの1%を支払う税金)について税務署と折り合っていないので、その件ではないか」とのことだったので、翌朝この担当者と一緒に出頭しました。

国税庁の本庁の意外に地味な部屋に通されると、二人の担当官がいかめしく待っていましたが、そのうちの一人が英語でいきなり、「あなたの会社はすぐに20万ドル(2000万円)を払いなさい!」と来ました。
私: 「何の税金ですか? うちは20万ドルの売上税を払うほどの売上額も利益もないですよ。」
税務所: 「オタク、今年会社をたたんだよね。会社を止めるときには、会社の資産を売ってその20%を税金として納めないとね。」
私: 「会社の資産なんて売ってないんですけど。」
税務署: 「たとえ資産を売っていなくても、会社を止めたときには売ったとみなして、その資産評価額の20%を払う必要があるんだよ。さあ、この法律の条文を見なさい。英語で書いてあるから。」
私: 「なんでカンボジアの法律が英語で書いてあるんだ?」と思いながら見ると、確かにそう書いてあります。

私: 心の中で 「そう言えば、(ある必要性があって)カンボジアの役人B氏にうちの会社を(紙の上だけで)一回清算して作り直すことを半年前に頼んだけど、音沙汰なくて、今頃になって(紙の上で)会社が清算されたのか!?」
 「うちの会社が法律上止めたことになってしまったら、この税金を払わざるを得ないな。」
 「だけど、どうやってこんな金額払うんだ?本当にゴム農園を売らざるを得ないなあ」
と目の前が真っ暗になりかけました。

次の瞬間
私: 「うちの会社は畳んでなんかいません! 営業を止めてませんよ。」
税務所: 「だけど届が出ているんだけど」
私: 「本当にゴム農園でも毎日働いているし、その毎日の売上も経理の方に報告来てますよ。(経理担当者に向かって) さあ、君もちゃんと毎日働いているって証言してよ。」
経理担当者: 税務担当官に向かってカンボジア語で「XXXXxxxxxxXXXX
税務署の担当官2人が怪訝な顔で、カンボジア語で「YYY, vvvvvv、YYYY」と話し合っています。

税務署: 「だけど確かにこの書類で止めたと届けられているのだが。あなたサインしたでしょ」と、一枚の紙を取り出しました。そこには確かに会社代表者のサインが漢字でされています。
私: 心の中で 「B 氏の仕業だな。私のプノンペン不在中にサインが必要だったのか、だれか他の日本人に書かせたな」

私: 別の紙にサインを書きながら、「ほら、サインが違うでしょ。私のサインじゃないですよ。」
税務所の担当官2人が増々怪訝な顔で、5分間ほど話しあっていましたが、「本当に止めてないんだね?」
「止めていないなら、税金の話もなくなるのだが。」

私: 「本当に止めてませんよ。 毎日働いている。」
税務署: 「わかった。 あなたがそう言わなかったら、会社清算の最終処理の決済を、この直ぐ後副大臣にもらいに行くとこだったんだけど。」

間一髪! 危ないところでした。
副大臣の最終決済がされると、会社清算が確定して20万ドル払わざるをえませんでした。

その後、急に税務署の担当官の(たぶん)上席の方が、柔らかい態度に変わり
「去年日本に行ったけど、日本はいいとこだね。去年はxxの部署にいたので日本に行けたんだよね。」と世間話を始めました。私も上の空ながら何とか話を合わせましたが、「このカンボジアの役人も意外に人間としては良い人かも」などと考えていました。

後日、「会社は止めていません」という上申書を2通国税本庁に提出して、この件は幕引きとなりました。
20万ドルの代わりに支払ったのは、上申書提出の手数料10ドルでした。