キャッサバ・プランテーション開拓 最初の1歩: 開墾編 

2014年3月14日

キャッサバ・プランテーション開拓の手順は以下のようですが、今日は3.のブルドーザーによる開墾について書きます。
1.土地の神様にお供えをして開拓の無事を祈る。
2.開拓拠点、即ち従業員宿舎、倉庫、トラクター・トラック置き場を作る。
3.原生林をブルドーザー、パワーショベルで木をなぎ倒し、抜根して、原野の状態にする。
4.原野を大型トラクターで耕作して、小木や草を取り払う。
5.更にトラクターで耕作し、土を細かくする。
6.最後に、肥料や除草剤を撒いてからキャッサバを植える畝をトラクターで作る。

開墾のためには、先ず農地の設計図を作ります。つまり、農地の地図の上に道路や排水溝(Drain)を作る場所を記入していきます。何せ(東京ディズニーランド+東京ディズニーシー)x2.5倍の広さを相手にするので、無計画に目蔵滅法ではできません。
どの場所に道路を作るのかについては鉄則があり、以下の1.2.3.の順で作ります。
1.土地の周囲を囲む様に作る
2.真ん中にメインロードを作る。
3.メインロードに交差して、400m置きに1本ずつ作る。これはワーカーが農地内のどこに行くにも道路から200m以内で行ける様にするためです。ワーカーの作業効率の問題ですね。

以下が設計図の写真です。

黒い線が道路ですが、道路上に黄色い点が数多く見えます。これは道路を作るときに真っ直ぐできるための目印のポールです。何しろ道の長さは1Km以上あるので、作るときに目印がないと曲がってしまうのです。この目印のポールにはGPSの座標を決めます。広大な原野で目印のポールを立てるときに、立てる場所をGPSの座標で確認しながら立てていくわけです。

道路は以下の写真のように、ブルドーザーで草も木もなぎ倒して作っていきます。

このブルドーザーは実に40年もの間現役で活躍してきたもので、先週一回火を噴いたのですが、すぐに復帰です。
根っこからなぎ倒された木と、出来た道路の写真です。木がなぎ倒される決定的瞬間を撮りたかったのですが、木がどちらに倒れるのかわからないので非常に危険なためできていません。

以下の写真は、うちのマネージャーが、ブルドーザー部隊の隊長に道路を作る際のGPSデバイスの使い方を教えているところです。軍服姿が隊長で、GPSデバイスを指しています。なぜ軍服姿かというと本当に軍人だからです

このブルドーザー部隊の土建会社は、所謂1つ星の将軍(准将)が経営していて、社員は全て現役軍人です。ブルドーザーの運転手もいつも軍服姿です。
カンボジアでは、軍人や役人の給料が極めて安く、生活の為に副業が黙認(奨励?)されています。ただうちのケースでは、土建屋が本業のように見えますが。。彼らは職業柄銃を持っていて、夕方にはこの原野で狩りをします。野生動物が極めて豊富なためですが、危険なので我々は夕方以降は出歩きません。

話がそれますが、役人は一般に自分の権限やポジション上知った情報を生かした副業に熱心です。例えば、知り合いの農林水産省のやや偉い役人は、良い農地の情報がふんだんに入ってくるので、安く良い土地を買って一財産作りました。また、彼は昨年プノンペンから辺境のモンドルキリ州に転勤になって、しばらく腐っていましたが、今は森林の監督権限を生かしてまた頑張っている様子です。

さて、実際にどうやって最初に道路を作ったかですが、GPSを頼りに初めは設計図通りにポールを立てましたが、ブルドーザーからはポールが草木に隠れて見えないことが発覚しました。ポールを立てるために、ジャングルに分け入って傷だらけになって奮闘したのですが。。
そこで、今度はトラクターでブルドーザーを先導することになりました。トラクターにはGPSデバイス(この場合はGPS機能付きアンドロイドスマホ)を持った人が同乗してナビゲーションをしたというわけです。

GPSでナビゲーションをした人によると、「片手でGPSデバイスを持ち、もう片手でトラクターに掴まるのだが、トラクターがひどく揺れるので振り落とされないよう必死に掴まり腕が痛い。また、GPSデバイスを見ていると、ジャングルの中なので木の枝などが次々とぶつかってきた」ということです。近代的なGPSを駆使しても、ジャングル開拓は一苦労です。

さて現時点では、周囲5Kmの道路が完成し、内部の道路も着々と延びています。道路ができると、今度はその道路を利用して内部の原生林の開拓へと進むことになります。

次回は、トラクターによる開墾をレポートします。