キャッサバ・プランテーションは、一難去ってまた一難 (続編)更に一難?

2014年4月7日

先日の記事で、キャッサバ・プランテーションにタイから送られて来た植え付け用茎の半分が死にかけていたことをお伝えしました。

<死にかけの茎の件は解決へ>
その後、今週月曜日に、タイからの買い付けを担当したC社の担当役員がKratie州の現場に来て確認し状況を社長に伝え、死にかけた茎の代わりを再送することが決まりました。

死にかけた茎は先日の記事のように赤くなってしまいますが、茎の表皮を削ると写真の様に褐色になっています。下の写真の白矢印のところです。

生きている茎は、表皮を削ると植物の緑色になります。

ところで、蛇足ですが、先日私が現場からC社の社長に電話して、死にかけの茎の件を伝えようとしたときに、「社長は入院中」と言われました。どうもこの入院中というのは本当だったらしいです。
一説によると、つい最近社長の奥さんが不倫したために離婚し、そのショックで入院したとのことです。天罰と思うのは私だけでしょうか?(悪趣味ですみません。)

<また一難? 水没可能性エリアが数十ヘクタール>
さて、本題に戻り、キャッサバ栽培では避けなければならない3つの被害があります。
1.水害
2.病虫害
3.雑草の被害
この内もっとも大変なものが水害です。病虫害や雑草も大敵ですが全滅はしません。しかし、キャッサバは水没すると確実に死んでしまいます。サツマイモも同様で、イモ類全般に言えるそうですが、水没するとイモが窒息してしまうそうです。

500ヘクタール以上のキャッサバを栽培している農園に聞いたところでは、イモの収穫量はどうしても平均すると1ヘクタール当たり25トンになってしまうそうです。
多収量品種で、1ヘクタール当たり40トンできるエリアもあるそうですが、水没や地下が水でいっぱいになるせいで、あまり取れないエリアもあるので、平均するとどうしても25トンになってしまうからです。

そこで、我々の農園もどうやって水害を避けるかが最大の課題です。
我々の対応は、当たり前のことですが先ず水没しそうなエリアには植えないということです。

しかしながら、キャッサバの植え付けは4月~5月の雨季の初期に行い、この時期はほぼ3か月以上雨が降っていないため水が干上がってしまい、雨季にどこが水没するのか分からない状態です。

そのため、水没しそうなエリアをどうやって決めて、そこに植えないように管理するするのかは実は難しい問題なのです。

弊社では、VP百津氏の発案で、水没エリアを以下のように推定して管理します。

上の地図は、Googleによる高低Mapで、標高データを地図上に表わしています。(黒線で囲んだ場所が我々のプランテーションです。)
この地図上で水色や白の標高が周りより低い部分は水没する可能性が高くなります。

実際には、この土地全体を1ヘクタール単位のマス目に分け、各マス目毎に現場を確認して水没の可能性を判断して行きます。以下は1ヘクタール単位のマス目です。

上記の各マス目の土地に行き、地形や生えている草を見ます。地形は当然周囲より窪んでいる場所が危険ですが、雨季に水没する場所に特有な草の生え方があって、そこからも判断できます。例えば、以下の写真の草は水没したり沼地になったりする場所に良く生えます。

このようにして、各1ヘクタール毎にその何パーセントが(間違いなく)使用可能かをチェックしました。

チェックの結果、写真のマス目の番号に手書きで丸が付いているマス目は100%OK、バツが付いているところは100%水没可能性エリアと判明しました。その他0.6のような数字が入っているのは使える比率を書いています。

このように、先ず200ヘクタール分を確認したところ、なんと約1/3にあたる約65ヘクタール分が水没する可能性ありとの結果が出ました。
基本的にこの65ヘクタールには植えられませんので、折角の土地が(キャッサバには)使えないことになります。また一難!

幸い、先日の記事で書きましたように、地主に開拓費用を5000ドル前払いする代わりに、最大50ヘクタールの土地を余分に使わせてもらえることになっていました。
今後、水没の危険のない場所を選んで50ヘクタールを余分に確保します。

また、水没する可能性のある場所でも、溝(Drain)を掘ったり、土管を地中に埋めたりして水はけを良くして使えるようにできる部分もありますので、土地の改良も行っていきます。

このくらいの広さの土地になると、どうしても土地の起伏があって水のたまる場所ができてしまいます。
いかに事前に水没エリアを避けるか、また土地を改良して水はけを改善するかが、勝負になります。