キャッサバ植え付けの戦い: キャッサバ・プランテーションの水害編

2014年5月22日

前回までの記事で、弊社のキャッサバ・プランテーションの害虫被害の緊急対応が完了し、キャッサバの苗(茎)を売ったC社への損害賠償交渉の段階になったとお伝えしました。

C社の問題は滅多にあり得ない事情があり、弁護士も対応を検討中ですので、情勢が見えてきたところでレポートしたいとおもいます。

前回の記事でも、水害、ワーカー不足などで植え付けが遅れていたことをお伝えしました。今回は水害に付いてお話します。

キャッサバは、来年2-3月に収穫。育つのに10-11か月かかるので、逆算すると今年の5月末には植え付け完了が必要です。
しかしながら、前回の記事時点で全体250ヘクタール中55ヘクタール、20%強の植え付けに留まっていました。

遅れの第一の原因は、水害です。
4月8日に雨季最初の本格的な雨が降って以来、弊社プランテーションは十分な雨に恵まれて、植え付けたキャッサバも順調に育ってきました。
ところが、十分な降雨は実はもろ刃の剣で、水害を引き起こすのです。

下の写真は、水害で崩れた道路です。

道路の両側には、排水溝(Drain)を掘って、水を外に流し出すようにしています。しかし、スコールが度々重なると、排水能力を超えて水が溜まり、溜まった水が道路を侵食して壊してしまいます。
そうなると、ワーカーやキャッサバの苗を植え付け場所まで運ぶことができません。植え付け場所までは数キロも離れているので、人は兎も角、数トン分の苗はトラックかピックアップでないと運べないのに、道路が寸断されているのです。

水に侵食された道路を無理に進むと、下の写真の様に途中で車が水没してしまいます。

下は、この土地の地図ですが、道路が土地の周囲と赤い細い線の部分です。黒い星印の部分の道路が壊れてしまい、すぐに対応が必要でした。 因みに、水色の部分は雨季に水没するエリアです。

道路の両側に排水溝が掘ってあるのですが、どちらか片側の排水溝が水で溢れかえって、道路を侵食します。
そこで、考えられるのは、両方の排水溝をつないで、水で溢れている排水溝から別の側の排水溝に水を流してしまうことです。
道路の下に水の通路を作るので、一番簡単な方法は道路の下に土管を埋めることです。
早速、写真のような土管を用意して埋める工事をやりました。

また、土管では水を流しきれない部所は、道路をカットして水を流し、カットしたところには木の橋を架けます。
幸いなことに、木は腐るほどあるので土地内の森林で切ればただで入手できます。
こんな感じで伐採して木材を調達します。

橋の専門家を頼んで橋を架けました。こんな感じです。

橋が完成すると、ピックアップや重機も通れるようになりました。おかげで苗の植え付けも進み出しました。

今回は、まだ雨季の初めのためにこの程度の水害ですが、7、8、9月頃には終日続くスコールが2週間程度に及ぶ場合もあり、プランテーション全体に水が溢れかえります。
特に心配しているのは、上の地図で黒い楕円で囲んだエリアです。ご覧のように水没エリアに完全に囲まれているので、道路も水没しやすく陸の孤島状態になる可能性があります。

今後その場合の水のコントロール方法が大きな課題です。対応は基本的には、パワーショベルで追加の排水溝を川などまで掘って水を流し出します。
そのための準備としてパワーショベルを確保はしましたが、迅速な対応が必要です。グズグズしていると、キャッサバの根(イモ)が水で窒息して枯れてしまいます。

局所的な水没が起こった場合には、前回の害虫の轍は踏まずに見落としは絶対できないので気を引き締めてかかる必要があります。