2014年7月9日
記事がどうしても、キャッサバ農園の事に戻ってしまいますが、6月末をデッドラインとして競馬で言う最終コーナーを回った馬はゴール直前で突然、雨のぬかるみで立ち往生してしまいました。
6月25日時点で全250ヘクタール中、あと50ヘクタール残まで追い込んだのですが、その後連日のスコールの為に地面がぬかるんで植え付け前の耕作と畝作りをするトラクターが進まなくなり、植え付けできない日が続きました。
それでも6月末には何とか後残り38ヘクタールまで漕ぎ着けました。しかしここで大きな壁に突き当たりました。
この残り38ヘクタールに水が大量に溜まり、池や沼地が点在するような状態になってしまったのです。(下の写真)これでは排水しないと何もできません。
下の地図の右上の水色の楕円部分に大量の水が溜まっています。
ここから水を抜くためには、黄色の矢印に沿って排水溝を掘り、水を川に逃がしてやる必要があります。
ところが、何と排水溝を掘るためのパワーショベルが大雨による道路のぬかるみの為に、このエリアに入れないのです。手も足も出ない状態になりました。
この地域では7月上旬に、10日程度梅雨の晴れ間のように晴れる時期があると言われています。実際、7月の初めに2日ほど晴れが続いたので後2日晴天があれば、パワーショベルが入れるようになると現場から言ってきました。
現場は、後2日の晴れに期待してパワーショベルの作業を止めてしまいました。「この状態ではどうせ現地に入れない」という諦めです。
そこで私は、最近弊社に入社した農業の専門家の米司さんと一昨日現場に入りました。何とかして状況を変えたかったのです。
米司さんの提言もあって、現地入りを渋るカンボジア人の運転手に無理矢理パワーショベルを現場に突入させました。
もし、沼地で動けなくなった場合には、丸太を3本針金で縛った筏を4つ用意して、その筏の上を通して脱出させるという案を出したのです。
すると、パワーショベルは何回も途中で下の写真の様に沼地で立ち往生しながらも、アームの力を使って脱出しながら入口に辿り着きました。
このパワーショベルは、地面が固い土地用の仕様でキャタピラの幅が狭く、沼地では沈み込みやすいので、カンボジア人運転手が渋るのももっともな面もあります。
何とか入口に辿りついたものの、カンボジア人運転手は何をどうやっていいのか分かりません。そこで日本人の出番です。農業専門家の米司さんがパワーショベルに飛び乗って排水路を掘り始めました。
見る見る排水路ができて、近くの水が流れ出しました。それを見てカンボジア人運転手も納得したようです。自分で何とか排水路を掘り始めました。やっと突破口ができました。
しかし、掘るべき排水路は長く、排水路の途中には撤去されていない廃材が山と積まれている場所が5-6か所もあります。下の写真の白矢印の廃材を退けるか、下に排水路を掘る必要があるのです。
実は、この土地を開拓した時の廃材を片づける様2か月も前から土地のオーナーにクレームし続けましたが、廃材を燃やすためには税金を払う必要があり、オーナーが税金が払えないために放っておかれたのです。これが今パワーショベルの道を塞いでいます。
パワーショベルはフル回転で廃材を移動させていましたが、ついに昨日午後油圧部が壊れて動かなくなりました。なんせ20年も頑張ってきた老骨に鞭を打ち過ぎました。このパワーショベルはオーナーの持ち物なので、彼が修理するお金を払う必要がありますが、資金繰りに困っているために修理ができません。
もう一つの問題は、たとえある程度水が引いても断続的に雨が降り続いているために、地面のゆるみが止まらずトラクターのタイヤが滑って苗を植える畝が作れないのです。
いよいよ進退窮まった状態になりました。昔の農家でよく言われた、「まかぬ種は生えぬ」なので、このままでは38ヘクタール分の収穫ができなくなり、経営的にも大打撃です。
実は、この後大きな進展があったのですが、長くなったので追記か次の記事で書きます。