キャッサバ農園の火事

2015年1月20日

新年早々から色々な事件が起こります。今度は、弊社のクラチェ州のキャッサバ農園で火事です。

この農園では昨年4月から8月にかけて、害虫に苗を食い荒らされたり、水害や雑草に苦しめられながらもなんとか250ヘクタールにキャッサバを植え付けました。収穫のトライアルで手順を確認して、来月からいよいよ本格的な収穫ができる、と思っていた矢先の出来事です。

このキャッサバ農園は、国道7号線から15kmほどジャングルの中に入いって行った場所を切り開いたので、周りは未開のジャングルです。

このジャングルで起こった火事が折からの強風にあおられて、5mほどの道路を飛び越えて農園に移りました。
現在は乾季の最中で、1か月以上まともな雨が降っておらず、農園もカラカラに乾燥しています。
農園に飛び移ってきた火は、キャッサバの間の枯草を伝わって燃え広がりました。

キャッサバは1m間隔で植えられていますが、その間には雑草が生えてきて除草剤で枯れたり、乾季で枯れてしまったりした枯草がかなりあります。それが導火線のようになって火が広がってキャッサバの茎や葉も焼けてしまいました。

焼けた領域は約2.5ヘクタールで、小さな面積ではありません。ただ、不幸中の幸いで火は農園の中の川の部分で止まり、農園の1%の縁の部分を焼いただけで、またジャングルの奥に向かって行きました。
農園の99%は焼けずに助かりました。

焼けたキャッサバですが、地上部分は焼けましたが、地下のイモは一先ず焼けずに無事に残りました。ただ、茎や葉が焼けているために10日くらいでイモもダメになってしまいます。そこで、至急イモを掘り出すことになります。

本来はまだイモが小さくて掘り出す時期になっていないのに、掘らざるを得ず、小さいままで出荷するために損害がでます。

このように、ジャングルの火事が乾季で強風の条件下では農園に移ってきてしまいますが、それではなぜ周囲のジャングルで火事が起こったのかというと、明らかに放火が原因です。

この乾季の時期には、この地域のジャングルではいたるところで放火されます。
放火するのは、ジャングルに住み着いている所謂「森の民」です。この「森の民」は勿論カンボジア人なのですが、ジャングルの奥に住んでいて、一般のカンボジア人とはあまり交わらず独自の生活をしています。

彼らは子供の時からジャングルの中だけで生活し、もちろん学校へも行かず読み書きも知らず、ジャングルの外の世界の規範や法律を知りません。従って、自分たちの都合だけで違法な放火を繰り返すのです。

彼らはなぜ放火するのか? 一つの理由は材木の違法伐採をするためです。ジャングルの多くは国有地で木材の伐採は禁じられていますが、彼らは外の世界の法律とは無関係に木を伐採して主にベトナムに運んで生活の糧にします。

乾季にはジャングルの中でも下草は枯れて燃えやすくなっています。放火すると下草だけに火が伝わって燃えてしまい、大きな木だけが残ります。邪魔な下草が無くなって木の伐採作業が非常にやりやすくなる訳です。

我々が「森の民」の住むジャングルを切り開いて農園を作ったために、火事をもらうリスクが出てきました。しかしながら、彼らに放火を止めさせることはできないので、自分たちで農園を周囲の火事から守るしかありません。
これから、周囲のジャングルに面する場所は、飛び火が移らないように枯草を取り除く作業を行います。

これも、カンボジアでプランテーションを運営する苦労の一つです。