ニューフロンティアの1年

2014年12月30日

年末になって今年を振り返ってみると、普通の年の3年分くらいの経験をしたように感じてしまいます。
思い出すと疲れるところもありますが、一生の中でも際立った年なので、まとめておこうと思います。

1.年初から東奔西走の日々
昨年に手当てしたキャッサバ用地が使えないことが分かり、年初から農園用地を求めてカンボジア中を走り回りました。
行った州を見ても、東側ではコンポントム州、コンポンチュナン州、バッタンバン州、ポーサット州、南部カンポット州、西側ではコンポンチャム州、クラチェ州、モンドルキリ州と8つの州、延べ十数か所以上を訪れました。
車に乗った距離は北海道から沖縄まで以上になります。

農地調査なので、ただ現地に行くだけではなく、未開のジャングルに分け入って、植物の生え方や水没状況、土壌の質等を確かめました。おかげで毎回のように手足をすりむいたり傷だらけになりました。

2月初めにクラチェ州にキャッサバ用地を決めてからも、今度は胡椒農園の土地を求めて3月まで駆け回りました。(胡椒用地の契約)

2.開拓と植え付けの開始
2月初めにキャッサバ農地を決め、知事や副知事と順番に会って長期に使用できるよう根回しをしたうえで、契約しました。
 
その直後から、キャッサバ農地の開墾が始まり、4月中旬には全250ヘクタール中約200ヘクタールが使える状態になりました。

4月8日に最初の本格的なスコールが降り、キャッサバの植え付けを開始しました。当初は植え付けにそんなに時間がかかるとは思っておらず、5月一杯には完了の予定でした。

3.七転八倒の日々
4月中旬のクメール正月後に植え付けが本格化して、当初順調に進みました。
(苗を挿して植え付け)

ところが、5月になって大事件が起こりました。キャッサバのペストともいわれる害虫、メーリーバグ(Mealy bug)が大発生し、植え付け用の苗木を食い荒らし、大部分が枯れたりダメージを受けて使えなくりました。
(メーリーバグの被害で枯れた苗木。白い粉はメーリーバグの卵)

大変な損害を被っただけでなく、メーリーバグの駆除と新たな苗木の確保に追われ、体制を立て直して植え付けを再開するのに2週間以上の時間を無駄にしてしまいました。

やっと植え付けを再開した直後から、今度は連日強烈なスコールが続き、農園までの道路が冠水して農園に通うことが困難になりました。また悪いことに、畑にも水が溜まって土が柔らかくなり、トラクターが滑って進まなくなって植え付け用の畝が作れない状態で、植え付けができない日が続きました。

「播かぬ種は生えない」ので、何とか植え付けないとビジネスがとん挫してしまいます。トラクターによる畝作りの方法をあれこれ試行錯誤で改善して、少しずつ植え付けを進めましたが、7月になっても連日のスコールの勢いは衰えません。比較的低い場所には水が溜まって沼地の様になってしまいました。

まずいことに、土地のオーナーから借りたパワーショベルも故障して、排水路も作れません。仕方なく乏しい資金の中から捻出して自前のパワーショベルを買い、何とか排水作業をして植え付けを進めました。

植え付けが最後の50ヘクタールに来た時に、また問題が起こりました。我々が最後の50ヘクタールの開墾を依頼した土地のオーナーが資金不足で開墾をストップしてしまったのです。

我々もあの手この手で交渉しましたが、開墾は中々再開できず結局終わったのは7月終わりになってしまいました。
このように七転八倒の末に8月始めに何とか全体を植え付け終わりました。

4.胡椒畑作りの日々
一方キャッサバと並行して、3月に買ったカンポット州の農地に胡椒を植える準備を5月から本格的に進めてきました。
開墾、耕作、添え木立て、ココナツ葉での屋根葺きを順次終わらせて、8月からはいよいよ苗の植え付けを行いました。また、カンポット州の農地は雨が少ないので、通常の溜池だけでは足らず、井戸堀りをして何とか水を確保しました。
(圧搾空気による井戸堀り。地下水が噴き出す)

また、昨年植えたケップ特別市の農地では、胡椒の若木が育ってきていたので、施肥や雨水で流されて減ってしまった土を足す作業に追われました。

5.収穫準備の日々
七転八倒して何とか植え付けたキャッサバも年末近くには何とか育ち、来年の収穫を準備する段階に来ました。
250ヘクタールを2-3か月で収穫するためには、300人の人手がかかります。そんなに人を集められないので、何とか少ない人数でやる方法を研究しました。

まずは、機械化です。キャッサバの収穫機を求めて、手分けしてカンボジア国内だけでなく、近隣のベトナム、タイまで探し回りました。
私も何日もタイの首都バンコクから数百キロ離れた地方のメーカーを探し回りました。
(タイでの収穫機探し)

省力化のためには、機械化だけでなく作業手順の合理化も重要です。何度も手順について議論を重ね、テストを行いました。
昨日、今日で、最初の収穫作業の本格リハーサルを行いましたが、まだ改善の余地が多く、来年もリハーサルを行います。

さて、肝心のキャッサバですが、植えた時期、水没の有無、雑草の状態によってバラつきは有りますが、お陰様で何とか来年収穫できるところまで漕ぎ着けました。
(4mになる巨大キャッサバ)

また、胡椒の方も昨年植えたものが来年2-5月に収穫できる状態になりました。
チームのメンバーの頑張りと、何度もダメになりかけたところから復活できた幸運に感謝したいと思います。

今年ブログを読んで頂いた皆様、ありがとうございました。来年も良い年でありますように。