初年度キャッサバ収穫量が目標を大きく下回る!

2015年5月2日

前回の記事から2か月のご無沙汰の後でブログを再開します。 この2か月間、日本一時帰国、キャッサバと胡椒の収穫、キャッサバ植付準備などの作業や続発する問題対応に追われていました。

今回の記事は、その最大の問題であるキャッサバの初年度収穫量についてです。
弊社Kratie州250ヘクタールのキャッサバ農園では、昨年4月から8月にかけて植え付けたキャッサバを、今年の3月~4月にかけて収穫しました。

ところが、平均収穫量が明らかになってくると、目標の25トン/ヘクタールを大きく下回る結果が見えてきました。この結果にショックを受けて、一時は次の植え付けを断念しようかとも考えました。
当然のことですが次回植え付けても収穫量が低ければ、事業として継続できないからです。

先ず、次に植え付けても意味のある収穫量にするためには、昨年度の低い平均収穫量の原因を究明して、次回に対策が取れることを確認できる必要がありました。
原因究明と有効な対策が取れなければ、次回もダメになるからです。

そこで、収穫の終盤にかけては必死で現場での調査を行い、専門家の意見を聞きました。
その結果として、以下の点が主な原因であることが判明しました。

1.水害: 植付けた面積の内約25%が水害の為に収穫できなかった。あらかじめ植付前に水害に会いそうな場所を避けて植えたのですが、この地域では想定以上に雨量が多かったため、水がタイムリーに掃けず、地下に水が溜まってキャッサバの根を窒息させた。

2.リプラント: 最初に植え付けた苗が枯れて根付かないために、同じ場所に2回目の苗を植付ます。これをリプラントと呼んでいます。
昨年は5月初めのメーリバグの被害の2次災害で、大量のリプラントを行わざる得なかったが、リプラントした苗がことごとく上手く育たなかったのです。

昨年5月に害虫メーリーバグ(Mealy bug)に苗を食い荒らされましたが、その時に生き残った苗を植え付けました。ところが、生き残ったと思った苗も、ある程度メーリーバグに樹液を吸われて弱っていたために、植えても育たずに枯れてしまったものが多発しました。

そこで、リプラントをしたのですが、下の写真のようにしないものに比べて極端に悪い結果になりました。
黄色い矢印がリプラントしたもの。白矢印はしていないもの。

白矢印のしていないものは、どれも2kg~3kgは有るので、全てリプラントしなければ目標に到達できていたことになります。

なぜリプラントが生育が悪かったのかを調べたところ、以下の原因が判明しました。

① リプラントの植付時に肥料を与えなかった。最初に植えた時の肥料はリプラントまでの2か月間に大量の雨で流されてしまい、肥料不足になってしまった。最初の肥料(元肥)の不足は致命的だった。
  
② 2か月間前に植えて既に伸びているリプラントしていない隣の株や雑草の陰になって、十分な日光が得られなかった。
③ リプラントには、この土壌との相性が悪いベトナム種を使った。   

3.雑草対応の遅れ: メーリーバグ対応や大量の雨による植付遅れの対応に追われて、雑草取りが後手に回ってしまい、雑草の被害を受けた。 
除草剤もキャッサバが小さいうちに使える有効なものが見つからず、有効に活用できなかった。

主に上記3つの原因で平均収穫量が低かったことが判明しましたが、次回はそのどれに対しても対応策が取れます。

1.水害については、水害地区は前回明確になったので、そこを避けて植える。また、念のために植え付け前に排水路を整備する。

2.今年はメーリーバグの発生を抑えられたので、リプラントを非常に少なくできます。また、リプラントのタイミングを1か月後として先に延びている周囲からの影響を低くする。リプラント時に施肥を徹底する。ベトナム種の問題点がはっきりしたので極力使用しない。
 
3.雑草対応を初期に、キャッサバが小さいうちに使える除草剤を使って行う。

この様に、対策がはっきりしたので、次回植付の可能性が見えてきました。

丁度そのタイミングで、一時帰国中に日本で買った、小山昇氏の「失敗は蜜の味」という本を読み、「初めての仕事では誰でも失敗します。(中略) 新しいことに果敢にチャレンジすればするほど、失敗の数は増えて行きます。そして手痛い失敗を経験した次に、成功につながる道を見つけることができる。」

という記述を見て、「確かに自分も前職のIT会社では、駆け出しのころ初めての仕事で失敗ばかりだったが、失敗の反省の中から改善策を見つけてきたよなあ。」と思い至り、勇気が湧きました。

そこで、何とか次回も植付に挑戦したいと考え、関係者とも相談した結果、再チャレンジすることになりました。
現地では、4月24日に本格的なスコールがあったので、4月26日から次回の植付を開始しました。

今年も七転八倒は続きます。