天然ゴムは長期暴落から3年8か月ぶりの復活?!

2014年11月5日

以前の記事で天然ゴム価格が2011年2月を天井として最近まで1/4に暴落したことをお伝えしました。

この価格が10月は上昇に転じてきており、何と3年8か月ぶりに反転し上昇に転じた可能性が高くなりました。
本当に反転したとすれば、我々カンボジアの天然ゴム農園にとっても大きな朗報です。
天然ゴム価格の暴落の為に、主産地のタイ・マレーシアでは生産価格割れとなり、経費が極端に安いカンボジアでも経営に大きな悪影響が出てきました。

上のチャートで、2011年2月天井を付けて、赤丸で囲んだように今年10月に反発しています。

なぜ、反転した可能性が高いのかは、これまでの下落の主な原因となっていた需給の緩みが解消に向かうことが鮮明になってきたからです。

先ず需要の面です。これまで最大の自動車生産・販売国である中国の景気減速に伴って、自動車生産増加がが鈍り、自動車のタイヤで使われる天然ゴムの需要も伸びないと考えられてきました。

ところが、9月頃から北米、中国、欧州の主要国で自動車の販売台数の伸びが顕著になってきました。
特に、景気が弱いと考えられている欧州で9月の販売台数が6.1%増となり、13か月連続で増加しました。
このように、今後は天然ゴムの需要が伸びる方向が明確になってきました。

また、供給サイドの変化も大きく、供給が伸びない状況が明らかになってきました。
特に、世界No1の生産量で全世界の30%を生産するタイが、10月の増産期に入っても現地生産量が増えず逆に少し減ってきています。

さすがに生産原価割れの未曾有の暴落によって、農家がゴム離れしてきているのではないかとの見方が有力です。タイ政府も補助金を出して天然ゴムからパームヤシへの転作を促していることもあり、天然ゴム農園が減る傾向にあります。

これに拍車をかける動きとして、アセアンの主な産地が1.5ドル以下では売らないという一種の価格カルテルが成立したことが伝えられています。
インドネシアの提唱に、タイ、マレーシアも同調して世界の70%を生産する3国が、1.5ドル以下では売らないことに合意したわけです。

当然、この価格カルテルが100%守られるわけではないはずですが、このカルテルを見て国際マーケットの投機資金の売りポジションが減る傾向が明らかになってきました。

また、別の動きとして、タイ政府が580億円もの資金を投入して、ゴム農家から現在の2割高の1kg=60バーツで買い上げるという発表をしています。
これは、農家から政府への突き上げへ対応したものですが、農家は市場に売らずに2割高い政府に売ることになり、市場への供給が減る要因となります。

話がそれますが、タイ政府がなぜ東京市場等の国際市場に介入せずに、農民から買い上げるのかが甚だ疑問です。国際市場に介入すれば、はるかに少ない資金で価格を持ち上げることができるのに、ただ農民から買い上げるのでは大量の在庫を積み上げるだけになり、将来その在庫が放出されて価格低下する問題の種になります。

タイの軍事政権は経済オンチで 、農民の不満が爆発しないように、補助金を農民にばら撒く単純な対応をしているように見えてしまいます。

いずれにしても、このように需要と供給の両面で改善の方向が鮮明になっており、3年8か月間の暴落で1/4になった価格の修正が起こる模様で、我々天然ゴム農園も何とか一息つける日が来そうです。
(まだ来ていませんが)