天然ゴム農園の紹介

2014年8月1日

前回の記事でお伝えしてから数日で、キャッサバの植え付けが何とか完了しました。後は欠株(苗を植えても芽が出ないもの)への再植え付けだけなのでお陰様で一段落です。

ところで、弊社は天然ゴム、胡椒、キャッサバのプランテーションを運営していますが、気が付いてみると、天然ゴムは一度もこのブログで取り上げていません。そこで今回は天然ゴム農園についてお伝えします。

弊社の天然ゴム農園は、カンボジア東部Kratie州Snoul郡にあり、Kratie州第2の都市 Suoulの中心部から約15Km、ベトナム国境から約8Kmに位置します。

面積は70ヘクタールで、そのうち50ヘクタールにゴムの木が植えられています。丁度東京ディズニーランドと同じ大きさです。

(天然ゴム農園入口)

この農園は、2011年に既に木が植わっている状態のものを買って育成、運営してきました。現在のゴムの木の年齢は、2歳、4歳、5歳、6歳、7歳です。

ゴムの木は5歳から樹液の採集ができて年齢と共に採取量が増えていき、10歳―15歳程度で最盛期となります。そして30歳頃まで樹液採取を行い、その後は伐採して木材として売ります。

60歳頃まで樹液は出るのですが採取量が減るので、30歳頃に木材として売った方が効率が良いのです。

さて、天然ゴムの種類もかなりあり、大きく分けると、収量が多いが比較的病気が多いもの、病気にかかりにくいが収量はそこそこのもの、病気への耐性と収量のバランスのとれたものの3種類に分かれます。
カンボジアでは病気耐性と収量のバランスの良く、カンボジア特有の赤土に合ったGT1という品種が多いです。当農園はベトナムからすぐ近くにあって土壌もベトナムと同じなので、ベトナムの土壌に合ったRAV4という品種です。収量は多いが若干病気が多い品種です。

(ゴム農園内の様子)

当農園では2011年10月から一部樹液採取を始めて、木の成長と共に採取量が増え、現在は毎日約500Kg-700kgの樹液が取れます。
この樹液は、毎日取れた直後に液体の状態でSnoul市にあるゴム工場に運んで売ります。

樹液(Rubber Latex)は水にゴムの成分が溶けた状態になっています。そこでゴム工場では、樹液中のゴム成分の重さに応じてお金を支払います。例えば、樹液700Kgのうちゴム成分が30%とすると、700Kgx30%=210Kgがゴムの成分で、樹液を乾燥させるとその重さの固形ゴムになります。

そのゴムの成分1Kgあたり2ドルとか1.5ドルの値段が付くわけです。

ゴム工場では運ばれて来た樹液の重さと、ゴム成分の比率を毎回測定してゴム成分の重さを算出してそれに応じた代金を支払います。

実は、天然ゴムの国際価格は3年前に急騰し天井をつけてその後は暴落しました。現在の価格は3年前の1/3、2年前の1/2程度となっています。

そのため、主産地のタイ、マレーシアでは販売価格が生産原価とほぼ等しいところまで下がっており、利益が出ない状態になっています。

しかし、カンボジアでは人件費や他の経費が極端に低いために、この販売価格でも利益が出るわけです。

さて、樹液の採取はタッピング(Tapping)と呼ばれ、文字通り樹皮をタップするように傷を付けていきます。このタッピングは毎日早朝の3時から開始されます。陽が出ると葉から水分が蒸散されて樹液の出が悪くなるので、陽の出ない内に樹液採取をしてしまうのです。

1日一人のワーカーは約500本をタッピングします。ゴムの木は3mx6mの間隔で植わっているので、1ヘクタールで555本あります。従って、1人のワーカーは丁度毎日1ヘクタールをタッピングすることになります。

同じゴムの木は3日に1回タッピングするので、1人のワーカーは3ヘクタールを受け持って、毎日そのうちの1ヘクタールを順にタッピングしていきます。

さて、タッピングが終わって約2時間後に下の写真のように樹液が皿に一杯になります。


皿に溜まった樹液はワーカーがバケツに回収して行きます。このようにタッピングが午前3時に始まって、午前中にはゴムの樹液を集めて工場に運んでしまいます。
ワーカーは2時間の昼休みの後、夕方まで道具の手入れや明日のタッピングの準備をして過ごします。
(農園の中心部、マネージャー住宅(左奥)とワーカー住宅)