キャッサバ植え付けの最後で最大の山場!その3

2014年7月25日

前々回の記事で、連日の雨のために大量の水が溜まった場所38ヘクタールからの排水に目途が立ち、水没エリアも残り4ヘクタールとなったとお伝えしました。
但し、この4ヘクタールを排水するためには、人手では無理でパワーショベルが必要です。

我々は急いでパワーショベルを探しました。まともに能率が上がるバケットが0.45立法メートル以上の新品を買えば10万ドル以上が必要で、そんな余裕はありません。一方中古でもメンテナンスを上手くやれば新品同様に使えるものもかなりあります。

4-5件の店を当たった結果、日本から届いたばかりの程度の良いものを見つけました。バケット0.5立法メートル、20年ものですがアームの動きも良く、キャタピラー幅が80cm以上あって沼地でも水没しないタイプです。

その店に4日間通って不具合箇所を毎日指摘して直させて、23日朝にやっとリニューアルを完成させて農園に発送しました。以下の写真は、パワーショベルを搬送用10トントラックに積んでいるところです。

朝10時にプノンペンを出発し、途中搬送トラックのパンクもあって夕方5時に農園から40KmのKratie市に到着しました。ここから約1時間走って国道から農園へのアクセス道路に入りました。
このアクセス道路は約10Kmですが、舗装がされておらず連日の雨で道路が崩れた状態になっています。搬送トラックは4輪駆動なのでかなりの悪路でも平気ですが、3Km進んだところでついにぬかるみにはまって動かなくなりました。

何かで引っ張り上げる必要があります。この時丁度運良く弊社のトラクターが近くに居ました。ワーカーを村に届ける途中だったのです。早速トラクターで引っ張ります。(下の写真。前がトラクター、後ろがトラック)

しかし、パワーショベルと合計20トン以上のトラックは重すぎて引き上げられません。そこで、パワーショベルをトラックから降ろして、何とか引き揚げました。しかし、この先も悪路が7Km続きます。とてもトラックでは進めないので、搬送トラックにはここで帰ってもらいパワーショベルが自走しました。

何しろ時速3Kmのパワーショベルなので、農園に着いたのは夜の10時になっていました。プノンペン出発後12時間でした。

翌朝、早朝にパワーショベルを始動させるために農園への道を急ぎましたが、途中の木の橋のある場所が昨夜の大雨で水没して、橋の場所が分かりません。一帯が水で覆われてしまったために幅の狭い橋のありかがはっきりしないのです。万一橋を外せば、我々の乗った車は川に転落します。現場マネージャーのウドム君が橋を確認しながら先導して何とか橋を超えました。(下の写真は水没道路と先導するウドム君)

やっと農園に辿り着いてパワーショベルを始動しようとしました。 ところがエンジンがかかりません。どうも昨夜7Kmの悪路を自走した振動で電気回路のどこかが接続不良になったようです。(下の写真はプノンペンに電話して対応方法を確認しているウドム君)

プノンペンからの指示をもとに30分試行錯誤を繰り返し、何とかかんとか接続不良を回復しエンジンが始動しました。農業専門家の米司さんがパワーショベルに飛び乗り、さあ、行くぞ!という瞬間に事故が起きました。パワーショベルの前のガラス戸が落下してガラスが飛び散り、操縦席の米司さんの腕を数か所切りました。

血が流れているのを見た周りのカンボジア人が駆け寄って、大至急止血・消毒をしました。幸い大事には至らずすぐに血が止まりました。
早朝にパワーショベル始動しようとしていましたが、そうこうしているうちに11時になっていました。それでも何とかパワーショベルを動かして現場に入りました。まだ大量に水が残っている4ヘクタールの場所です。

低い地点から水の溜まっている場所まで排水溝を掘って行きます。見る見る水の道ができて行きます。

この日は午前11時から午後5時まで稼働して、約100m以上の排水溝を掘り、大きな水溜まり2か所からの排水が出来るようになりました。

このままあと2日ほど排水溝を掘り続けると4ヘクタール全体からの排水ができます。
また、今後連日大雨が降っても排水溝が出来ているので、水が溜まることはありません。やっと最後の苗が植えられる状況に漕ぎ着けました。植え付けは予定より2か月遅れで完了する公算です。