カンボジアの残念な面

2014年12月20日

カンボジアは活気に満ちて発展が期待できる、現代のニューフォロンティアですが、発展途上国ゆえの残念な面も数多くあります。

そのうちの1つは、上は政府高官から下は一般の会社員に至るまで横領が横行していることです。
政府高官の件に関しては、多くの公共事業のお金がよくわからないままに消えて行って、道路工事などの予算が無くなってとん挫してしまうことが日常茶飯です。

我々に身近な従業員による横領は、私の知っている殆ど全てと言っていい企業が悩まされています。
これまで弊社にはそのようなことは起こらなかったのですが、今回発生してしまいました。

私が日本に一時帰国した期間に、留守番役の日本人社員がカンボジア人女子社員にオフィスの家賃を払いに行かせたところ、その女子社員が翌日から出社しなくなりました。

連絡が中々取れず、2,3日後に連絡が取れた時には、女子社員は「トラブルに巻き込まれて、頭を殴られて気を失い、気が付いたら病院のベッドに居た。しばらく休みたい。」と言ってきました。

それで、留守番役の日本人は2,3日様子を見たようです。その後私がカンボジアに帰ってきて、その女子社員に電話で連絡を取ろうとしましたが、携帯電話が2つともクローズされていて何日も連絡が取れません。
メールで連絡するように催促しても何の返答も帰ってきません。

そこで、私は彼女の家に行ってみるしかないと考えましたが、会社に届けられた住所がプノンペン市内の大きな郡名とその番地名だけで、ストリート名がありません。これでは、そこの郡に行ってみても探すのは事実上不可能に近い状態です。

住所だけでは家を探せないため、彼女の友人を当たって行き、2日がかりで何とか彼女の家を突き止めました。
プノンペン市内のカンボジア人だけが住むスラムに近いような住宅街の奥の家を訪ねた時、彼女は不在で母親が家にいました。

母親は、「(彼女は)仕事に行っている。夜9時ころに帰る。」ということでした。まだ夕方5時でしたので、一旦引き揚げて9時に再び来ることにしました。
すると、6時頃に留守番役日本人から電話があり、「彼女から今電話があった。預かったオフィスの家賃をついつい使い込んでしまい、怖くなって会社に来れなくなった」とのことでした。

9時に家に行くと、果たして彼女がいました。夕方に日本人が家に来たと母親から聞いて、英語を話す彼女の姉も待っていました。
彼女に事情を説明させると、「家賃を使い込んだのではなく、失くしてしまい、怖くて会社に来れなかった。入院は本当だ。」と言います。
先程留守番役日本人に話した内容と違うので、信用できません。簡単に都合の良い嘘をついているようです。

姉に話すと、大変驚いて「彼女の給料から月々差し引いて返済させてほしい。」と言います。
私の方は、彼女が電話までクローズして隠れようとしたので、「もう信用できないので解雇します。ただ、まだ若いので警察沙汰にはせず、次の仕事を見つけて来月から毎月返済してください。」と話しました。

結局、彼女の姉を保証人として、返済する旨の文書を作り一件落着となりました。

「カンボジア人は(お金が目の前にあると)我慢できない。」、「後先考えずすぐバレルことや、嘘を簡単についてしまう。」とよく言われますが、自分の会社でこんなことが起こり、大変残念です。

彼女の場合は大学まで出ていますが、子供時代に基本的な道徳観念の躾がなされていなかったようです。
カンボジアでは、ポルポトの数百万人の虐殺によって社会秩序や道徳観念までが完全に崩壊してしまい、今もその再建途上にあると言われています。

カンボジア人全体にこのような道徳観念が行き渡り、横領が減って社会がより良くなることを願っています。