カンポットペッパー農園は、連日集中豪雨です。

 カンポットペッパーは、カンボジア南西部カンポット州・ケップ州で栽培される、世界的なブランドの有機胡椒です。

 カンポット州・ケップ州にある弊社のカンポットペッパー農園は今、雨季のピークを迎え、過酷な自然と闘いながら胡椒の木を守り育てています。

<カンボジアの雨季のピーク>

 カンボジアは、北緯約14度の熱帯にあり、年間雨季と乾季の2シーズンがあります。

 大体毎年5月~10月の半年が雨期、11月~4月の半年が乾季です。

 この雨季の中でも、毎日雨が降っているわけではなく、年ごとにかなり異なりますが、何週間か雨が集中したかと思うと、その後2週間くらい全く降らない時期もあります。

 ところが不思議なことに、毎年9月中旬のプチュンバン連休(カンボジアお盆)時期には必ずといっていいほど大雨が集中します。

 果たして、今年も毎日のように豪雨です。

 この豪雨は、「スコール」と呼ばれ、直前までよく晴れていても、急に冷たい風が吹いてきて空が暗くなり、にわかに大粒の雨が叩きつけてきます。

 特徴は、日本の集中豪雨のような大雨だけでなく、台風のような強風も吹き荒れることです。

 スコールは、1、2時間ほどで上がりすぐ晴天になる日もありますが、1日中降り続く日もあります。

<スコールのカンポットペッパー農園への影響>

 9月中旬のピークには、この1日中降り続く日が1週間から3週間くらいも連続することがあり、日本の集中豪雨の比でない水量で、カンポットペッパー農園も溢れ返ることになります。

 しかし、胡椒の木は2,3日間根が水に浸かると根腐れなどの病気が出てしまいます。

 特にカンポットペッパーは、クメール種という味と香りは良いが病気にすこぶる弱い品種を栽培していますので、冠水しないように一刻も早く排水することが大切です。

 その為に、毎年雨季ピーク前には、左下の写真のように畝ごとに排水路を掘り、胡椒の根の上に土を盛って小山のようにして、雨が降るそばから流してしまうようにします。

 また、スコール直後には農園全体を見回って、水溜まりができていないかを確認し、万一できていればすぐに排水路を掘って排水します。

 右下の写真は、スコール直後に大量の水が排水されてしまった様子です。

 このように排水路を掘ると、雨水をすぐ排水するだけでなく、スコールで畝に浸み込んで胡椒の根の近くの地中に溜まった水も、大雨が上がった後にすぐに排水路まで押し出されてきます。

 このため、根が長期間水に浸かった状態を避けることができます。

 スコールのもう1つの脅威、強風も農園を破壊します。

 左下の写真は、スコール後に強風で胡椒の添え木がくの字に折れてしまった状態、右下は農園ハウスの屋根が壊れた様子です。

 左上のように、胡椒の添え木が折れてしまうと、胡椒が引っ張られてストレスを受けたり、最悪は胡椒も折れてしまうこともあります。

 今日の午前中は晴れたので、昨日・一昨日のスコールで折れた添え木の取り換え作業を行いました。下の写真は交換用の新しい添え木を運んでいる様子です。

 一滴の雨も降らない炎天が数か月間続く乾季だけでなく、このように雨季も熱帯の自然は大変過酷です。

 私たちは、過酷な自然と闘いながら、病気に弱くとも味と香りが最高級のカンポットペッパーを作り続けています。

カンポットペッパー農園の出来事

 カンポットペッパーは、カンボジア南西部カンポット州・ケップ州で栽培される、世界的なブランドの有機胡椒です。

 今回は、うちのケップ州のカンポットペッパー農園で起こった出来事を通じて、そこで働くカンボジア人の心情についてのお話しです。

<スタッフの怪死と幽霊事件>

 2019年1月始めの日曜日、うちの農園スタッフの1人が結婚披露宴に招待され、かなり酔って帰宅し、翌朝早く亡くなっているのが奥さんに発見されました。

 実は、その前の週の日曜日にも隣の農園のスタッフが、同じように結婚披露宴の翌朝無くなっていたのです。

 この小さな村で、立て続けに同じような死に方が相次いだので、妙な噂が駆け巡りました。

 「パーティーでお酒に毒を入れられたのではないか?!」

 カンボジア版「林ますみヒ素カレー事件」という感じでしょうか?

 「根が素朴でいいやつが多いカンボジア人にも、そんな心の闇があるのだろうか?」という感想でしたが、兎に角スタッフには当面極力結婚披露パーティーには出ないようにお触れを出しました。

 それから数日経って早朝、農園のカンボジア人マネージャーから「例の怪死したスタッフの幽霊が出るとのことで、農園に宿直するスタッフが逃げ出して、だれも宿直者が居なくなってしまいます。どうしましょうか?」と言って来ました。

 夜の農園の静けさと怪死の恐怖からの錯覚か、誰かが盗みに入るために流した噂におびえたのかわかりませんが、夜誰も農園に居ないと泥棒のやりたい放題になってしまいます。

<切り札はお坊さん>

 「どうしたものか?」と思案したところ2013年のことを思い出しました。

 2013年にこの農園をジャングルから開拓した時のことです。

 ある時、夜にトラクターが無人で勝手に動き出すことが頻発し、開拓していたワーカーが全員逃げ出してしまった事件がありました。

 この時は、トラクターの上に豚の丸焼きをお供えしてお線香を立てて、ワーカー全員で改めて地鎮祭のようなことをやりました。

 その後、無人トラクターが勝手に動き出すことは無くなりました。

 そこで、今回もそれに似た対策が必要と考え、カンボジア人マネージャーには、「すぐにお坊さんを呼んでお祓いをしてもらえ」と指示しました。

 その日の昼間にお坊さんを呼んでお経を上げて頂き、スタッフ全員で慰霊のお祈りをしました。(以下の写真)

 みんな真剣な表情でお祈りし、お祓いを受けました。

 その晩は、カンボジア人マネージャーと主なスタッフが農園に泊まり込んで、幽霊が出ないことを確認しました。

 これにて一件落着。

 お坊さんへのお布施は20ドル(2000円余り)でした。

 お坊さん曰く「幽霊なんていないよ。」それでも、今回のことで、農園で働く普通のカンボジア人の非常に素朴な心の一端が垣間見れたような感じがしました。

<追記:幽霊事件の真相>

 さて、幽霊を信じるような普通のカンボジア人の素朴なこころについてのお話しでしたが、

 その後1週間くらい経って、幽霊事件の真相がわかってきました。

 お坊さんを呼んでお祓いをした直後に、農園の仕掛品保管庫に誰かが穴を開けようとしていた形跡が発見されました。

 下の写真は、ブリキ板が切られているところです。

 幽霊騒ぎで誰も居なくなった夜間に、保管庫を切り裂いたわけです。

 保管庫の場所がわかっているので、内部の者の犯行かと思われました。

 兎に角、当面警戒を怠らないようにして、休日の日曜日にもカンボジア人マネージャーを見回りに行かせました。

 すると、次の日曜日の昼に留守番役のスタッフが、仕掛品保管庫の壁のブリキ板を切っているところを発見しました。現行犯逮捕です。やはり内部の犯行でした。

 このスタッフは、年を取って力もそんなにないのでブリキ板を切るのに時間がかかります。

 幽霊の噂をばら撒いて、夜中に誰も居なくなった間にゆっくりとブリキ板を切って、お宝を頂戴しようと計ったわけです。

 このスタッフを懲戒解雇・出入り禁止にして、農園に平和が戻りました。

 それにしても、今回の事件のように普通のカンボジア人は非常に純朴ですが、残念ながらそれを利用して悪いことをしようとする輩もいるのがカンボジアですね。

カンボジア土産のカンポットペッパーとコロナ禍の衝撃

 カンポットペッパーは、カンボジア南西部カンポット州、ケップ州のみで栽培される世界的ブランドのオーガニック胡椒です。

 うちの農園のカンポットペッパーは、日本や欧米に輸出するだけでなく、カンボジア国内でも売られています。

<プノンペン イオンモール1でのカンポットペッパー販売>

 その中でも、よく出ていたのはプノンペンにあるイオンモール1のAmazing Cambodiaという辣腕の日本人美人実業家が経営する、日本人旅行者がよく寄るお土産物屋さんです。

イオンモール1
(プノンペン)
Amazing Cambodia
手前の3籠一杯にうちのカンポットペッパー クメール黒の衝撃

 この経営者の方は、3、4年ほど前に商品の胡椒を探しておられ、うちの農園にも視察に来られました。特に塩漬け生胡椒を地元の籠に入れて売る企画がありましたが、この時は実現しませんでした。

 昨年夏頃、2日続けてカンポット市内で偶然ばったりお会いして、奇遇に驚きながら「また一緒に商品を考えましょう」などとお話ししていました。

 昨年秋にうちが塩漬け生胡椒を、新しいパッケージで発売したのを見て、そのパッケージの名前を気に入って頂き、Amazing Cambodiaさんで販売していただくことになりました。

 パッケージの名前は、「クメール 黒の衝撃」です。

 名前の「クメール」は地元語でカンボジアの意味ですが、塩漬け生胡椒が黒くて、食べると驚くような味なので「黒の衝撃」が合っているのではないか、とのことでした。

 昨年12月から店頭に並べられ、試食用の瓶も用意しました。

 年末にワクワクしながら、売上状況を店長さんに聞いてみると、「最初見ただけだと何かわからないが、試食してもらうとかなりの確率で売れる」とのこと。

 試食していただくとわかるのは、毎年11月に新宿西口で出展している展示即売会「三ツ星バザール」と同じですね。

<コロナ禍の衝撃>

 こうして、昨年12月から今年1月、2月と順調に売上が伸びて行ったのですが、3月に急ブレーキ。4月からは何と売上95%減となりました。

 ご案内のようにコロナ禍で、3月後半からカンボジアが「鎖国」状態になり、観光客が来なくなったことが原因です。

 カンボジアの観光客に対する実質鎖国状態は、まだ続いていますので、カンボジアのお土産物屋さんでの売上は、日本のインバウンド向けお土産屋さん同様厳しい状態が続いています。

 カンボジア国内でのコロナ感染者数はほぼゼロで、感染者の99%以上が海外から来た人が空港のPCR検査で引っ掛かるものばかりです。

 但し、日本のような保健所の機能もあまりないし、患者をきちんと隔離できるような病院も非常に少ないので、国内で感染が本格化すると止められなくなってしまうでしょう。

 その意味では、カンボジアが「コロナ鎖国」を続けて、外国からの感染者を防ごうとしているのは、致し方ないことだと言えます。

 そのため、世界的にコロナ禍が終息するまでは、観光客もカンボジアに入れないので、この状態が続いてしまいます。

 何とかこの難局を耐え抜いて、またお土産屋さんが復活できることを祈るばかりです。

カンポットペッパー 白胡椒の作り方

 カンボジアの南西部、カンポット州・ケップ州で栽培されている高級オーガニック胡椒、カンポットペッパーには、黒、白、赤の乾燥胡椒があります。

 これらは、全て同じ房からできますが、今回は白に焦点を当てたいと思います。

 熟して収穫された胡椒の房には、下の写真のように、赤、橙、黄色、緑の実がなっています。

 このうちの橙色と黄色の実が白胡椒になります。

 熟した胡椒の実は、純白の種を皮が包んでいますが、この皮を剥いて種の部分だけにしたものが白胡椒です。

 純白の種の部分だけの純粋な香りと強い辛味が特徴です。

 黒胡椒や赤胡椒は種の味と香りに加えて、皮の部分の味と香りが加わるために、一層複雑な味と香りになるわけです。

 さて、熟して種のある実であれば、原理的にはどれでも皮をきちんと剥けば、白胡椒になります。但し、橙色と黄色の実が一番おいしい白胡椒になります。

 なぜでしょうか? 橙色と黄色の実が最も完全に皮が剥けるからです。

 赤や緑の実の皮を剥こうとしても、皮のごく一部が種に付着して残ってしまい、純白にはなりません。見た目だけでなく、味と香りも皮の一部のものが混ざってしまうので、美味しい白胡椒にはならないわけです。

 面白いことに、逆に橙色と黄色の実の皮を剥かずに黒胡椒にしようとしても、形や色が悪くなり、一級品の黒胡椒にはなりません。

 胡椒の世界も、適材適所ということでしょうか。

 白胡椒用に皮を剥くためには、収穫後しばらく煮たものをたらいに入れて、手で圧迫して皮を剥きます。その後他と同様に天日で乾燥させます。(下の写真)

 完成した赤、白、黒の乾燥胡椒

 

オーガニックのカンポットペッパーには、無農薬なので虫が付く―乾燥胡椒編

 カンボジア南西部のカンポット州・ケップ州だけで栽培される、カンポットペッパーは完全有機栽培。当然無農薬なので様々な虫が付きます。

 前回の記事では、生の葉や実に付く植物の「ペスト」Mealy Bugについてお話ししました。

<硬い乾燥胡椒にも付く虫、シバンムシ(死番虫)>

 生の木に付く虫ならわかりますが、胡椒ミルが必要なほど硬い乾燥胡椒も食べる虫がいます。シバンムシ(死番虫)です。「蓼食う虫も好きずき」とはよく言ったものです。

 なんか不気味な名前ですが、ウィキペディアによると

 「頭部を家屋の建材の柱などに打ち付けて雌雄間の交信を行う習性を持つ、この音は時計の秒針の音に似ているが虫の姿が見えず音だけ聞こえることから、死神が持つ死の秒読みの時計(death-watch)の音とする俗信があり、英名のdeath-watch beetleはこれに由来する。和名のシバンムシは英名を元に死番(死の番人=死神)虫と命名された。」

 とのことで、やはり死神のことだったんですね。

(シバンムシの成虫) (胡椒の実に付く幼虫)

 この虫の仲間は、東南アジアを発生地として世界中に多くの種類がいて、「ゴキブリを即死させるような猛毒の植物も食べて育つことができる。また顎の力が強いため薄い梱包であれば穴を開け内部に侵入してしまう。そのため、長期保存されている乾燥動・植物質はありとあらゆるものが加害されると言っても過言ではなく、タバコ、香辛料、漢方の生薬なども食害を免れない。」
(ウィキペディア抜粋)

 日本でも、畳の裏などを食べて大発生することもあります。

 従って、乾燥胡椒もせっせと食べます。但し不思議なことに、乾燥胡椒の中でもほぼ赤胡椒だけを食べるのです。

 カンポットペッパーには、通常の黒胡椒、白胡椒の他に赤胡椒があり、まろやかな風味と独特の旨味でパリでも最高級品となっています。

 赤胡椒の皮が比較的柔らかいためか、独特の旨味に引き寄せられるためか、農園で見つかる

 シバンムシは99%以上赤胡椒に居ます。

 うちのスタッフは「赤胡椒がスウィートだから虫が好むんだ」と言っていますが。

 この赤胡椒に付くものは何故か体が赤い保護色になっています。

 ごくまれに、黒胡椒で見つかるものは黒い保護色、白胡椒で見つかるものは白い保護色をしています。

<シバンムシの退治>

 しかし、いくら無農薬だからと言っても、虫が付いた胡椒をお客様にお届けするわけには行きません。

 農園でも1級品を1粒1粒選別しているので、成虫が居るものを簡単に出荷することはありませんが、卵を胡椒の実の中に産み付けるので、卵の状態で日本に来て成虫になってしまう可能性もあり、頭の痛い問題でした。

 日本でどのように対処しているかを調べると、引越屋さんなどが畳で発生したシバンムシ駆除をしています。

 方法は、熱風乾燥機を取り付けた専用車で、お客さんの家に行き、畳を熱風乾燥するというものでした。論文を調べるとシバンムシは45℃程度の熱風で、成虫だけでなく蛹、幼虫、卵までタンパク質熱変性により、死滅することがわかりました。

 そこで、うちでも写真のような熱風乾燥機を導入しました。タイ製のガスタービンに胡椒用の棚を取り付けたものです。

 あまり高温で胡椒の風味を損なわない、パスチャライズ(低温殺菌)の考え方で、出荷前の胡椒は、65℃以上1時間以上はこの機械に掛けます。

 虫がいる場合、機械を始動し熱風が来た途端に、バタバタと成虫が飛び立って逃げ出します。

 カンポットペッパー栽培は、100年前からの有機の伝統を守っていますが、うちの農園では品質を保つために、このような文明の利器も取り入れています。

 

オーガニックのカンポットペッパーには、無農薬なので虫が付く

 カンボジア南西部のカンポット州・ケップ州だけで栽培される、カンポットペッパーは完全有機栽培。当然無農薬なので様々な虫が付きます。

<木の葉や生の実に付くMealy Bug (ミーリーバグ、粉貝殻虫)>

 新型コロナ並みに感染力が強く、植物の「ペスト」とも恐れられている、Mealy Bug(粉貝殻虫)は中でも一番厄介です。
この虫は、木の葉や生の実に取り付いて、汁を吸って生きています。
虫の大きさは1~数ミリ程度で非常に小さく、周りを粉で覆っているので、葉や実に何か白いものが付いている?としか、近づいてよく見ないとわかりません。
(生の実に付くMealy Bug)

 それで気が付かないで、放っておくと大変なことになります。
この虫は繁殖力が凄まじく、1か月で数百万倍に増えますので、気が付いたら農園中に蔓延していた、ということになりかねません。

 汁を吸われた胡椒は弱って、他の病気にも取りつかれやすくなり、枯れてしまうことも
あります。

 対策は、常に農園全体を見て回り、Mealy Bugを発見したらすぐに、周りの枝や胡椒の実の房ごと取ってきて焼却します。
当然農薬は使用できないので、有効な対策は虫を取り除き、取り除いたものから風などでまた病気が広まらないように焼却するしかありません。

 1つ見つかると周りの木にもいるケースが多いので、ワーカーを数名呼んで周り一帯を捜索して全部を取り除き、必ず全て償却します。

 この時に重要なのは、取り除くときに直接手で触れない、この作業中手でむやみに他の胡椒などに触れない、焼却後はすぐに手を洗うということです。
この虫の粉に卵が居るので、粉が手に着くと、下手をすると知らずに卵をまき散らすことになるからです。その点、この植物の「ペスト」でも新型コロナ同様に手洗いが欠かせません。

 発生地点一帯から十分に取り切った、と思ってもまだ油断ができません。
次は、完全有機栽培の為、天然の植物だけで作った「殺虫剤」を撒きます。
「殺虫剤」と「」が付いているのは、実際には虫を殺せるわけではなく、虫が嫌がって逃げるものだからです。農薬のような決定的な効果が出せないのですが、仕方がありません。

 クレンスレングという有毒な木の実を潰したものを主成分に、タバコの葉や有毒のつる草等を水に1週間程度漬け込んだものを散布しますが、強烈に嫌な臭いがします。

 さて、Mealy Bugはカンボジアにも体の大きさの違う複数種類が居て、様々な植物にとりつきます。
これまでの栽培経験では、キャッサバ(タピオカ)やパパイヤで発生しました。

 特に2014年にカンボジア東部クラチェ州でキャッサバ農園を運営した時に、折角タイから大量に輸入した苗が、大半これでダメになって大損害を被りました。
(2014年のブログにも詳細を書きました)

 それ以来、私はこの虫を蛇蝎のように嫌って、初めて胡椒農園で見つけた時にはショックを受けました。頻繁に農園中を見回って発見すると即座にワーカーを集めて対応するようにしています。
完全有機、無農薬のカンポットペッパーには、栽培の為に、このように通常よりも人手と愛情が必要なのです。

(次回は乾燥した硬い胡椒に付く虫のお話しです)

カンポットペッパー農園の今:高品質な胡椒を選別

 カンボジア南西部のカンポット州・ケップ州は美味しいオーガニック胡椒、カンポットペッパーの産地です。

 カンポットペッパー農園では、収穫後の施肥、施設メンテナンスの後、胡椒の選別作業に入っています。

<オーガニック胡椒、カンポットペッパーの条件>

 日本の農協にあたるカンポットペッパー協会(Kampot Pepper Promotion Association)は100年前からの完全な有機農法を厳密なガイドラインとして定めています。このガイドラインを守る農園だけが会員として、カンポットペッパーの名前を名乗ることができます。

 

ガイドラインの例:

・完全に有機肥料を使用する 牛糞、牛骨粉、こうもり糞を中心とする有機肥料のみ使用。
・農薬の不使用 除草剤、殺虫剤などの農薬は使用禁止。
・施設の規則 胡椒の添え木は木材のみ。屋根はココナツの葉か寒冷紗。添え木の間隔、1ヘクタール当たりの添え木(胡椒の木)の本数制限。(十分な間隔を開け、風通しを良くして病気を防ぐ為)
・胡椒の種類 クメール種のBig leaf、Small leafと呼ばれる2種類のみを栽培。栽培が比較的簡単な「インド種」、「マレー種」は禁止。
・製品 決められた以上の大きさ、色、形の条件を満たすもののみ。条件を満たさない胡椒の実はカンポットペッパーを名乗れない。

 

<オーガニック胡椒、カンポットペッパーの品質にこだわった選別>

 胡椒の収穫と乾燥が終わった後、カンポットペッパーであるための上記の最後の条件を満たす胡椒の実だけを選別する作業が一仕事です。

 乾燥された胡椒の実のうち、黒胡椒は約50%、赤・白胡椒は約80-90%しか1級品としてカンポットペッパーを名乗って出荷できません。

 1粒1粒手作業で選別するため、1人で1日1~2kgしか選別できません。

 農園からの出荷量はトン単位ですが、1トンを選別するために1人でやると1年半はかかることになります。

 うちの農園でも半数弱が女性ワーカーですが、彼女たちはほぼ1年中朝から夕方まで選別作業に取り組んでいます。出荷が集中する時にはそれでも間に合わず、日雇いワーカーも数十人雇って選別します。

 こんな時には、騒ぎを聞きつけて、カンポットペッパー協会の会長始めスタッフがやって来て、正しく選別するための指導と品質確認をやってくれます。

 この様に、カンポットペッパーは徹底的に手をかけて、高品質な胡椒だけを出荷しています。ここまで品質にこだわっているのは、世界でもカンポットペッパーだけだと思います。

 

 

 

カンポットペッパー農園の収穫後の仕事

 カンボジア南西部カンポット州・ケップ州に在る、うちのカンポットペッパー農園では、5月下旬に収穫作業が終わりました。

 胡椒の木は実を力一杯産んだので、産後に消耗して栄養が必要な状態になっています。そこで、収穫直後から肥料を与えて体力を回復させます。

 肥料を与えるためには、まず除草です。除草しないと肥料をやっても雑草の餌になってしまいます。

 熱帯のカンボジアは日光が豊富で、雨期には水に不自由しない為、雑草の茂る速度が速く、量も日本の比較にならないほど多いです。

 そこで除草が一仕事なわけですが、カンポットペッパーは完全有機栽培の為、農薬などの除草剤が使えません。

 その為、畝の周りで刈払機は使えますが、畝の木の近くは全て人手で「チョッカ」と呼ばれる鍬を主に使って草取りをします。

(刈払機による除草の様子) (チョッカ(鍬)による除草)

 草取りが終わると、やっと施肥が可能になります。

 肥料は、牛糞堆肥、こうもり糞、牛骨粉がメインになりますが、その他は各農園が独自の有機肥料をアレンジします。

 牛糞堆肥は土質の改良、こうもり糞は窒素分の栄養補給、牛骨粉はリン酸分の補給になります。

 肥料と共に新しい土も大量に入れて、微量元素などを補給するのも伝統的なやり方です。但し、うちではここ数年大量の土だけを入れることはやっていません。

 一定量の新しい土を牛糞堆肥に混ぜて寝かせたものを施す事で十分と判断しています。

 実は微量元素は牛糞堆肥などの肥料に十分に含まれています。

(牛糞堆肥と土を混ぜる様子) (牛糞堆肥の施肥の様子)

 カンボジアでは牛を放し飼いにしている農家が多く、牛糞を溜めて堆肥にしているところも多いので、非常に安い牛糞堆肥に不自由しないわけです。

 また、うちの肥料の特徴の1つは、カニ殻を使っていることです。

 カニ殻は窒素、リン酸を豊富に含む優れた肥料ですが、キチン質を含むために土中の放線菌類を増やす働きがあります。

 放線菌は、胡椒の大敵カビ類や線虫の外側のキチン質を溶かす酵素を出すので、放線菌が増えると病害虫を抑制することができます。

 但しカニ殻は高いので、「欲しいけど、どうしようか?」と考えていた時に、「そういえば近くの海岸のカニ市場のレストランで大量のカニが食べられているなあ。その殻を集められないかな?」と思い至って、カニ殻を安く入手できるようになりました。

 カニ殻を海岸で大量に入手してきて、自前の粉砕機で粉にして使っています。

(カニ殻集めの様子) (カニ殻の粉砕の様子)

 施肥と共に重要なのが、設備のメンテナンスです。

 収穫期の2、3か月間は他の作業があまりできないので、胡椒の添え木が折れたり、屋根のネットが外れたりしているところも出てきますので、これらのメンテナンスも行います。

(添え木の交換の様子) (胡椒の新しい添え木)

 

カンポットペッパーがますます身近に! カンポットペッパー完熟赤胡椒がマコーミック・ブランドで発売!

 ユウキ食品(株)様から、うちの農園の完熟赤胡椒が、「マコーミック」ブランドで今年の春に発売になりました。

「マコーミック」はアメリカ生まれの有名ブランドで、私が子供のころには日本でも胡椒の代名詞のようでしたので、大変光栄な限りです。

 白・黒・ピンクペッパーではなく、これまで日本にないカンポットペッパー特有の完熟赤胡椒に焦点を当てての発売です。

 

<マコーミック・ブランド カンポットペッパー発売の経緯>

 思い起こせば2年前の夏、カンボジアの首都プノンペンでの出来事です。

 普段住んでいるカンポット州から、用事で首都プノンペンに運転して、丁度到着したタイミングで携帯が鳴りました。

 知らない日本人の方からですが、偶然すぐ近くにおられるとのことで、お会いすることになり、お昼ご飯をご一緒しました。

 旅行でカンポットの胡椒農園を探しておられたとのことで、その時に持っていた赤胡椒のサンプルをお渡しすると、それをユウキ食品様の役員さんに渡してくれました。

 その時から、一時帰国のタイミングでその役員さんにお会いして、カンポットペッパーのお話をさせて頂くようになり、昨年うちの農園から赤胡椒を出荷しました。

 その後、昨年11月の新宿の展示会出展にお越しいただいてお話しさせていただくなどして、今年のマコーミック・ブランドでの発売となりました。

 私は普段首都プノンペンから車で3-4時間かかる、農園のあるカンポット州に居ますので、プノンペンに来ることは珍しいのです。珍しくプノンペンに来たタイミングに、しかもすぐ近くから電話を頂かなければ、今回の発売も無かったことになったはずですので、不思議な偶然があるものですね。

 こんな偶然から始まった「マコーミック」ブランドの完熟赤胡椒ですが、多くの人に味わって頂きカンポットペッパーが更に身近なものになるきっかけになれば、と願っています。

アフターコロナの健康とカンポットペッパー その4

<免疫力アップと血流改善とカンポットペッパーの塩漬け生胡椒>

 これまで3回にわたり、

アフターコロナ時代には、免疫を高めて予防が大切だが、胡椒・生姜には免疫アップに不可欠の血流改善に効果があり、胡椒では主成分ピぺリンに血流アップ効果がある。
カンポットペッパーは、有効成分ピぺリンを他の20%以上多く含む。
特にグリーンペッパー(生の胡椒の実)の塩漬け生胡椒で、ピぺリンが美味しく摂れる。

というお話をさせて頂きました。

<カンポットペッパーの塩漬け生胡椒とは>

 カンポットペッパーの塩漬け生胡椒は、グリーンペッパー(生の胡椒の実)をカンポット州の海塩に漬け込んだもので、常温で1年以上長持ちするので、手軽に安心して日本に持ってくることができます。

 塩漬けにすることで、胡椒の内部にあったこれまでにない旨味が表面に出てきます。

(下の写真は塩漬け生胡椒)

 弊社は毎年11月初旬に、新宿駅西口広場イベントコーナーで開催される、「Tokyo 三ツ星バザール」という展示即売会に出展しています。

 この展示即売会では、毎年、試食していただいたお客様の70%―80%にお買い上げ頂いています。(写真は展示会の様子)

 「確かに塩漬けの胡椒だけど、普通じゃない味だね!」、「これまでない味だけど美味しい」などというご評価を頂いてきました。

 また、インバウンドの中国人、欧米人のお客様にもよく売れます。「美味しいものは世界共通」といった感じです。

 展示会では「どうやって食べるの?」というご質問をよく頂きますが、下の写真のように、肉料理、魚料理、パスタ、サラダ、スープなどにそのまま粒ごとか、刻んで入れて頂くと料理が変わってきます。卵かけご飯、納豆、バニラアイスにも実は良く合います。

 

<塩漬け生胡椒を作る様子>

 上の写真のように、胡椒の房から一粒一粒実を分けて塩漬けにするので、非常に手間暇がかかります。人件費の安いカンボジアでないと難しいかもしれません。

 下は、使用するカンポット・ソールト(カンポット州の天然海塩)作成の様子です。