カンボジア南西部のカンポット州・ケップ州だけで栽培される、カンポットペッパーは完全有機栽培。当然無農薬なので様々な虫が付きます。
<木の葉や生の実に付くMealy Bug (ミーリーバグ、粉貝殻虫)>
新型コロナ並みに感染力が強く、植物の「ペスト」とも恐れられている、Mealy Bug(粉貝殻虫)は中でも一番厄介です。
この虫は、木の葉や生の実に取り付いて、汁を吸って生きています。
虫の大きさは1~数ミリ程度で非常に小さく、周りを粉で覆っているので、葉や実に何か白いものが付いている?としか、近づいてよく見ないとわかりません。
(生の実に付くMealy Bug)
それで気が付かないで、放っておくと大変なことになります。
この虫は繁殖力が凄まじく、1か月で数百万倍に増えますので、気が付いたら農園中に蔓延していた、ということになりかねません。
汁を吸われた胡椒は弱って、他の病気にも取りつかれやすくなり、枯れてしまうことも
あります。
対策は、常に農園全体を見て回り、Mealy Bugを発見したらすぐに、周りの枝や胡椒の実の房ごと取ってきて焼却します。
当然農薬は使用できないので、有効な対策は虫を取り除き、取り除いたものから風などでまた病気が広まらないように焼却するしかありません。
1つ見つかると周りの木にもいるケースが多いので、ワーカーを数名呼んで周り一帯を捜索して全部を取り除き、必ず全て償却します。
この時に重要なのは、取り除くときに直接手で触れない、この作業中手でむやみに他の胡椒などに触れない、焼却後はすぐに手を洗うということです。
この虫の粉に卵が居るので、粉が手に着くと、下手をすると知らずに卵をまき散らすことになるからです。その点、この植物の「ペスト」でも新型コロナ同様に手洗いが欠かせません。
発生地点一帯から十分に取り切った、と思ってもまだ油断ができません。
次は、完全有機栽培の為、天然の植物だけで作った「殺虫剤」を撒きます。
「殺虫剤」と「」が付いているのは、実際には虫を殺せるわけではなく、虫が嫌がって逃げるものだからです。農薬のような決定的な効果が出せないのですが、仕方がありません。
クレンスレングという有毒な木の実を潰したものを主成分に、タバコの葉や有毒のつる草等を水に1週間程度漬け込んだものを散布しますが、強烈に嫌な臭いがします。
さて、Mealy Bugはカンボジアにも体の大きさの違う複数種類が居て、様々な植物にとりつきます。
これまでの栽培経験では、キャッサバ(タピオカ)やパパイヤで発生しました。
特に2014年にカンボジア東部クラチェ州でキャッサバ農園を運営した時に、折角タイから大量に輸入した苗が、大半これでダメになって大損害を被りました。
(2014年のブログにも詳細を書きました)
それ以来、私はこの虫を蛇蝎のように嫌って、初めて胡椒農園で見つけた時にはショックを受けました。頻繁に農園中を見回って発見すると即座にワーカーを集めて対応するようにしています。
完全有機、無農薬のカンポットペッパーには、栽培の為に、このように通常よりも人手と愛情が必要なのです。
(次回は乾燥した硬い胡椒に付く虫のお話しです)