カンポットペッパー協会の年次総会に出席しました!

 弊社は、カンポットペッパー協会(Kampot Pepper Promotion Associatin)に所属しています。この協会は地元の胡椒農園の作る組合ですが、日本の農協のような機能を果たしています。

 特長は、

 1.‘Kampot Pepper‘という地域ブランドを持っているが、特に欧米では高級ブランドとして有名で、この協会に所属していないと、このブランドを名乗れない。

 2.協会員は、胡椒栽培方法に付いては、協会のガイドラインに従う必要があり、ガイドラインには100年以上前からの有機栽培の方法が定められている。即ち、協会員は厳密な意味で有機栽培を行っている。

 3.協会は、毎年胡椒の買取価格を決めて、協会員の農園から胡椒を買い取って、欧米からのバイヤーに売る。この買取価格が‘カンポットペッパー‘の標準価格となる。

 欧米での、‘Kampot Pepper`ブランドの人気は絶大で、TIME誌(2012年1月16日号)では、「普通の胡椒はテーブルワイン、カンポットペッパーは(ファイン)ボルドーワイン」とそのブランドを評しています。

 さて、カンポットペッパー協会の年次総会は、先週金曜日の朝8時から始まりました。

 最初に、ムンライ会長の挨拶や州の農業局のお偉方の挨拶がありました。(下はお偉方の写真)

(ムンライ会長と)

 次に、2009年度からの協会の拡大の歩みが紹介されました。会員数、植え付け面積、売り上げ等がすごい勢いで拡大の一途です。

 上の写真が今回発表された、その拡大を表す数値です。
 各列は、左から、年度、会員数、参加バイヤー数(欧米からの胡椒バイヤー)、植え付けられた添え木数、その内の収穫できる添え木数、植え付け面積、収穫高、協会が認めた収穫高、協会の手数料です。

 2009年には、会員数が113だったのに対し、2015年には倍増しています。また、作付面積は同じ期間で10倍にもなっています。
 会員数が2倍で、作付面積が10倍ということは、この期間で面積が大きな農園が増えてきたことを示しています。当初は0.5ヘクタールにも満たない小規模農家が100件ほどで始まりましたが、後に外国人や大資本を中心に数ヘクタール単位の大きなものが増えてきました。

 実際我々の近くの農園は、最近フランス人、ドイツ人、中国人の農園が増えてきました。もちろん我々日本人の農園も5-6軒あります。
 カンボジア人の資本家では、昨年前農林水産大臣のチャンサルン氏の20ヘクタールの農園も開業しています。

 なぜこれほど大きな農園が増えているかと言うと、この5年間ずっとカンポットペッパーブランドの胡椒の価格が急騰していることが主な理由です。
 欧米でブランド力の為に、欧米からのバイヤーが殺到してきており、昨年は協会経由では30トンしか出荷できなかったのに、バイヤーの買取要求は300トン来たそうです。需要に対して10%しか供給できない訳です。

 従って、価格もこの4年間で4倍にも値上がりしています。そこで、参入が相次いでいますが、植えてから3年目にならないと収穫できないし、そこからも年数が経たないと収穫量も増えないので、今後5年間程度はこんな状態が続く公算です。

 さて、この協会の実績発表の後には選挙です。まず、バイヤー代表を選びます。欧米バイヤーの代表も協会に所属して、品質向上や価格についてのバイヤー側からの意見を述べます。

 上の写真は、開票風景です。協会発足当時からのバイヤー会員2社が圧倒的多数で再選されました。
 これらのバイヤーは、‘カンポットペッパー‘ブランドを広めるために大きな役割を果たしてきました。
 このようにバイヤーを会員に迎えて、協力して行くのもユニークで優れたアイデアだと思います。

 その後は、カンポット州の各郡の代表選挙と、宴会になりました。

 カンポットペッパー協会は、カンボジアで唯一の成功している農業生産者の協同組合です。日本のNGOが必死になって農協をカンボジアに作ろうとしていますが、全く上手く行っていません。
 その中で、この協会は異色の存在です。

 各農園が、ブランドによる高価格保証というメリットによってガッチリ結びついているわけですが、それ以外にもバイヤー会員を迎えて意見を求め、かつブランドを宣伝してもらう等、協会の成功の秘訣の一端を見た気がしました。弊社も、今後協会の一員として、有機栽培を進めて行きたいと考えています。

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