[追記あります] キャッサバ植え付けの戦い: ワーカー確保難!

2014年5月24日

弊社のKratie州にあるキャッサバ・プランテーションでは、キャッサバの苗植え付けを、4月8日に雨季最初の本格スコールが降ったのを合図にその翌日から始めました。来年2-3月に収穫するためには5月末までに植え付けを終わらせる必要があります。
植え付けの様子です。 茎を30cmに切って畝に差し込んでいきます。

しかし、これまで幾つかのの記事で書きましたように、害虫大発生、水害、笹の害などカンボジアの熱帯の大自然の洗礼を、これでもか!というくらい受けて、植え付けは度々中断を余儀なくされました。

この遅れを取り戻すためには、植え付けワーカーの大動員しかありません。
しかし、実はこれが一筋縄では行きません。

弊社のプランテーションでは、正社員(Permanent Worker)はマネージャー以下15人程度ですが、短期間で植え付けるためにはとても足りず、数十人~百人程度のテンポラリー・ワーカーを確保する必要があります。

最初は、近くの村から日雇いのワーカーを掻き集めていました。近くの村のリーダーに頼んで、普段仕事の無い人を1日5ドルの賃金で来てもらうのです。
テンポラリーワーカーにしてみても、家でブラブラしているよりも貴重な現金収入を稼ぎたいので、多くが集まってきました。

しかし、ワーカーが集まって来て植え付けが順調に進むと思われましたが、多くの問題が起こりました。
先ず、第一に仕事のやり方が日本では考えられないほどいい加減です。
例えば、苗を15cm~20cmの深さまで地中に刺さなければならないのに、土が固い場所では5cmほど刺して止めてしまいます。
このように苗の刺し方が浅いと芽が出ずに苗が死ぬ確率が高まってしまいます。

下の写真は植えたものを抜いたところ、苗の上端から白矢印までの5cm程度しか刺していません。

正社員のグループ・リーダーが注意するのですが、中々改めないし、厳しく言うとすぐ来なくなってしまいます。

第2の問題は、仕事の速度があまりに遅いことです。当初の想定では、弊社の正社員の実績値から、1ヘクタールの植え付けに1日で8人程度でできるとみていました。ところが実際には1.5~2倍の人数が掛かっていました。
昼間40℃に達する炎天下での肉体労働なので、あまり真面目にやると体を壊してしまいますし、早くやっても賃金は同じなので手を抜くのは分かりますが、あまりに生産性が低い。

午前11時から午後3時までの灼熱の時間帯を避けて休み、夕方近くから仕事をするように提案してみましたが、過ごしやすい夕方は早く帰って遊びたいようです。

第3の問題は決定的なのですが、テンポラリーワーカーは早朝に我々が村にトラックで迎えに行き、4時半に仕事が終わると村まで送り届けます。
こんな感じです。 これで50人ほど乗っています。

しかし、度々のスコールによって水害が起こり、村と我々の農園の間の10Kmほどの道が寸断されてしまい通れなくなる事態が頻発しました。テンポラリーワーカーが村から働きに来られません。
これで、手も足も出なくなりました。 植え付けの遅れは増々拡大していきます。

そこで、対応策としたのは、テンポラリーワーカーでも別の種類の人たちを雇うことです。
我々は、per-hectare- workerと勝手に呼んでいますが、働いた日にちにかかわらず1ヘクタール植える度に定額を支払う契約のワーカーです。

この人たちは村から通うのではなく、農園に住み着いて働いてくれるので、水害で村からの道路が通れなくなっても問題ありません。 写真のような小屋を作って住んでいます。

当初彼らを雇わなかったのは、こちらの方が普通の日雇いワーカーよりも割高だと考えたからです。しかし、実際にはこちらの方が生産性が高いことが分かりました。
彼らは、様々な農園を渡り歩いているので、一種の植え付けのプロで手際が極めていいのです。
例えば、気温40℃の真昼は日陰で、キャッサバの茎を切って苗を準備する作業をやり、夕方涼しくなってきてから集中的に植え付け作業をやってしまいます。

現在、この人達を55人雇っていますが、植え付け速度アップのために更に30人増やそうと、彼らのリーダーと交渉中です。しかし、追加のワーカーは中々来てくれません。彼らはあちこちの農園を渡り歩いていますが、賃金不払いが続発しているために、疑心暗鬼になり我々を中々信じてくれないのです。

現在来ている55人の賃金をキチンと支払う実績を作って、信用を勝ち得るしかありません。
植え付けスピードアップのための戦いはまだまだ続きます。

<追記>
今日、農園に入ってみて驚きました。我々が30人増やそうとしている、per-hectare- workerがほとんどいません。なんと、55人中の40人が故郷の村に帰ってしまったのです。
(もぬけの殻の住居)

理由を聞いてまたビックリ。 昨日、あるエリアの植え付け終わったので、この人たちのリーダーに代金を渡したのですが、リーダーがピンハネしてワーカーに賃金をきちんと支払わないためとのことです。

早速、弊社のマネージャーのウドム君がこのリーダーを呼んで事情聴取をしました。
下の写真の左の半裸のおじさんがそのリーダー、右がウドム君です。

この半裸おじさんは、「金は(ワーカーに)払っている」、「ワーカーは明日来る。」とうそぶくばかりです。

どうもカンボジア人に多い、まとまったお金が目の前にあると手を出してしまう、悪い癖がこの人にも出たようです。

「ワーカーが賃金不払いが続発して疑心暗鬼になり、中々来てくれない」と書きましたが、原因は雇った農園ではなく、このリーダーにあったようですね。
 
兎も角、彼には頼らず別の幾つかの村に当たって見るしかありません。
ワーカー確保の戦いはまだまだ続きます。