カンボジアの農業プランテーションでは、胡椒、キャッサバが有望

2014年3月19日

前回の記事で「カンボジアの農業プランテーションは、高い利益の可能性がある。」と述べましたが、それでは、実際には何を作ったら良いのでしょう?

<天然ゴム>
私が、2011年にカンボジアで天然ゴムのプランテーションを始めたときには、天然ゴムの絶頂期でした。天然ゴム価格は前年の2倍に跳ね上がり、天然ゴム農園が奪い合いになって、天然ゴム農園の価格もうなぎ登りの状態でした。
このバブルの理由は、国際的な投機資金が大量に商品市場に流れ込んできたためですが、投機資金は中国の自動車生産拡大を囃し立てたわけです。

確かに、天然ゴムが無ければ自動車のタイヤは作れず、中国での自動車生産はここ数年でアメリカを抜いて世界一になり、需要は拡大の一途でした。

しかしここにきて、中国の自動車生産急拡大にブレーキがかかってきました。主な理由は例のPM2.5による深刻な大気汚染のために、中国政府が車の生産・販売について規制を強化しているためです。
そこで、それを見た投機筋が一斉に商品市場から資金を引き揚げました。

そのため、天然ゴムの国際価格は3年前の最高値の1/3に買い叩かれ、天然ゴム農園からの樹液の出荷価格も半額以下に暴落してしまいました。
バブル崩壊して、正常な需給関係で決まる価格まで下がっているため、今後これ以上の下落は考えにくく、現時点でもコストが低いためにかなり利益は出ますが、一時ほどでもない訳です。

<胡椒>
私が現在、カンボジアの商品作物の中で一番有望視しているものの一つは、胡椒です。

実際、胡椒の高利益率については、カンボジア政府も認識しています。 先日、Kratie州政府のある副局長さんから聞いた、政府の調査した「カンボジアでの利益率の高い作物ランキング」のNo.1は胡椒です。

胡椒の大きな特徴は、少ない面積の土地で巨大な売りあげが可能なことです。
実際、軌道に乗ると1ヘクタールの胡椒畑から、日本のサラリーマンの平均年収程度の売上を上げることができます。

この年収はKampot州かKep特別市に農園を作って、カンポットペッパー協会に加入して、「Kampot Pepper」ブランドを名乗れる場合で、このブランドが無い場合には、販売価格は半分程度になりますので、どうせやるなら「Kampot Pepper」ブランド付に限りますね。

近年、胡椒の国際価格も低落気味ですが、「Kampot Pepper」ブランドの胡椒は年々価格上昇しています。
「Kampot Pepper」ブランドについては、別に記事を書くことにします。

胡椒は少ない土地で巨大な収益が見込めるために、多くのカンボジア人が参入を試みてきています。
但し、高い参入障壁があります。初期費用がかなり高いことです。
そのため、大きな胡椒農園が中々作れず、大半の農園は0.5ヘクタール以下の大きさに留まります。

1ヘクタール分の初期費用は、東京の平均的なマンション1件分の1/5程度ですから、普通の日本人が個人で始めるのであれば、日本でマンション投資をするより格段にお薦めです。

実際、日本の個人の方で昨年から、Kep特別市のうちの農園の隣で0.5ヘクタールの胡椒農園を始めて、更に今年拡張される方もおられます。
また、日本胡椒協会の林さんも、今年からうちの隣で1ヘクタールの胡椒農園を始めました。
(林さんのブログ記事はこちら→https://blog.goo.ne.jp/kosyou1

胡椒は、巨大な収益が望める一方、まともな収穫量を確保するためには、専門家が細心の注意を払いながら世話をしていく必要があります。

従って、我々の胡椒農園では、苗を植える前の畝や施設を作るところから、詳細な手順まで、カンポットペッパー協会の専門家の指導を仰いでいます。

<キャッサバ>
キャッサバも、胡椒同様に高い収益が期待できます。
カンボジアのキャッサバの需要は、隣国のタイやベトナム経由で中国の食用になりますが、食べ物は景気や大気汚染にかかわらずどうしても必要なものなので、販売価格は安定しています。

但し、胡椒とは正反対で1ヘクタール当たりの売上は低いので、ある程度の売り上げを確保するためには大きな土地が必要になります。

大きな土地を確保するためには、それなりの資金とカンボジア特有の土地取得ノウハウが必要なので、個人よりも企業向きです。

実際、数百ヘクタールの農地が確保できれば、日本の中堅企業並の売上が見込めます。
但し、売り上げは中堅企業並ですが、カンボジアの人件費や地代等の経費は日本と比較にならないほど極端に安いので、利益は日本の中堅企業とは比較になりません。

この巨大な利益を求めて、中国やベトナム等の企業が多数、カンボジアで数千ヘクタールのキャッサバ・プランテーションに進出してきています。

大きな土地があるだけでは、当然ながら、まともな収穫量を確保することはできず、キャッサバ栽培のノウハウ、大規模農園マネージメントが重要ですが、これらについては、今後の記事で我々の実際のキャッサバ・プランテーションの七転八倒? or  七転八起?でレポートして行きます。