世界的な高級胡椒カンポットペッパーの産地、カンボジアが大洪水に見舞われています。
カンボジアでは、10月後半から11月の雨季の最後に大雨が続く年があるのですが、今年は10月に入ってから、日本でいう集中豪雨が連日のように続いています。
昨年は、反対に珍しく9月末から翌年3月までさっぱり雨が降らず、干ばつ状態になりました。
そのため、特に黒生姜の成長がストップしてしまう事態になり大きな被害を受けました。
黒生姜は11月の最後の1か月に急に塊根が大きくなり、内部の有効成分が増すので、昨年は成長ストップの為に収穫量、品質ともに大打撃でした。
今年は、10月に入っても雨が続いていたので、昨年のような被害は出ないだろうと安心していましたが、逆に雨量が多すぎて被害がでそうです。
カンポットペッパーは、味と香りは良いのですが、病気に非常に弱く、2-3日根が水に浸かると根腐れ病が出てきます。
そこで、先日のブログにも書きましたが畝と畝の間を深く掘り、畝を高くして降った雨水がすぐに排水されてしまうように、雨季のピーク前に準備します。
9月まではそのように準備した排水路だけでうまくいっていたのですが、最近は雨量が多すぎて排水が追いつきません。
そこで、雨が上がった直後にワーカー総出で、水が溜まっている場所に排水路を追加したりして排水作業に努めます。
全て人手でチョッカと呼ばれる鍬を振るう作業なので、かなりの人手がかかりますが、放って置くわけにはいきません。
放って置くと、病気が出て来月からの塩漬け用の生の実の収穫量や、来年3月からの乾燥胡椒用の収穫量が激減してしまいます。
下の写真の排水路に水が溢れそうになっていますね。
さて、今は農園以外の場所もこの大雨の被害を受けています。
トンレサップ川が氾濫して、道路が川になったり、家中に水が溢れたりしています。
また、幹線道路が寸断されて、隣の州に移動できず孤立する地方が出てきたりしています。
下の写真は寸断された道路です。道路の片側から水が溢れてもう片側に流れ込みます。道路の下の地盤もコンクリ―ト等で固められていないので、流れ込む水で道路の下が抉られ、道路の一部も流されてしまいます。
カンボジアは今、至る所水だらけです。
乾季には数か月間一滴も雨が降らず、道路も土埃が舞って見通しが悪くなるほどですが、雨季のピークには、長い時は1-2か月もこのような状態が続きます。
カンポットペッパーはこのような苛烈な自然環境の場所で栽培されているのです。